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スマホの画面に中国語の注意喚起が次々と流れたのは、11月26日夜のことだ。在日本中国大使館がSNSの公式アカウントで、日本への渡航を控えるよう中国人に改めて呼びかけた。治安の悪化や差別への不安を強く訴える内容で、日本側の受け止めとは大きく食い違っている。
中国大使館が繰り返す渡航自粛要請
大使館は26日夜、日本の治安環境が引き続き悪化していると記し、近く日本を訪れる予定があれば再考するよう求めた。今回の発信は、高市早苗首相が台湾有事を日本の存立危機事態となり得ると国会で述べたことに中国政府が強く反発し、11月14日に初めて渡航自粛を促してから2度目の警告となる。安全保障を巡る緊張が、そのまま人の往来にも影を落としている。
注意喚起では、今月に入り中国人に対する差別やトラブルの相談が特に目立つとし、最近訪日した多くの中国人から、理由のない罵倒や殴打でけがをしたとの報告が相次いでいると強調した。また、日本では近年暴力犯罪が増えているとするデータを引用し、日本に滞在する中国人にも安全意識を高めるよう繰り返し呼びかけた。一方で、個々の事例や件数などの詳細は示していない。
対立する評価と、暮らしの不安
これに対し、日本の外務省は21日、中国側の渡航自粛要請について、今年に入って中国国籍者を狙った犯罪事件が多発しているとの指摘は事実に反すると表明した。統計上、日本の犯罪発生件数は長期的には減少傾向にあると説明してきた経緯もある。中国外務省の毛寧報道官は26日の会見で、日本のインターネット上に中国へ向けた極端で脅迫的な言論が大量にあると述べ、日本政府に在日中国人の安全確保へ適切な行動をとるよう求めた。
各国政府による渡航自粛の呼びかけは、治安そのものだけでなく、外交関係や世論の動きを映す指標でもある。中国からの観光客や留学生はこれまで日本の街や経済を支えてきたが、相次ぐ警告はその流れにブレーキをかけつつある。SNS上では一部で敵意むき出しの言葉が交わされる一方、日常の職場や学校では静かに気遣い合う場面も少なくない。数字や声明とは別に、顔を合わせる現場での小さな選択が、この先の空気を決めていくように見える。
