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中国は2025年12月18日、南部の海南島で「封関運営」と呼ぶ制度を始め、税関手続きの面で本土と切り分けた。免税地帯としての性格を強め、現地での加工で付加価値が30%以上になった製品は無関税で本土へ持ち込める仕組みを前面に出して、海外投資を呼び込みたい考えだ。
観光の島に引かれる「税関の境界線」
封関運営は、海南島を「税関が特別に監督する地域」として扱い、海外との出入りを「一線」、本土側との出入りを「二線」と位置付けて管理する制度だ。財政部などは、海南で登録した企業などが一線から持ち込む貨物のうち、一定の条件を満たす「零関税」貨物を免税にすると説明している。
目玉の1つが「加工増値」だ。税関総署の規定では、輸入や域内調達の原材料に対して付加価値が30%以上に達したと認められる場合、海南から本土へ移す際の関税を免除できる。言い換えると、単なる積み替えではなく、島内での生産や加工を増やすほど恩恵が大きくなる設計で、企業側には原価や工程を説明できる管理体制が欠かせなくなる。
投資誘致の切り札か、限定的な実験か
Reutersは、海南の経済規模が約1130億ドルと中堅国並みである点を引きながら、今回の措置を「新たな商業拠点づくり」と位置付けた。中国側は、自由貿易港としての実績を積み上げ、より高い水準の貿易ルールへの対応力を示す狙いもにじませる。投資が減速する局面で、税や規制の見通しを示し直す意味合いもある。
ただ、制度が魅力的でも、広い市場がすぐに動くとは限らない。同紙によれば、CPTPP参加国や専門家の間には、参加には全国レベルの改革が必要だとの見方があり、海南の試行だけで信頼を得られるかは不透明だ。免税の範囲や対象品目は拡大しても、企業が最終的に求めるのは法制度の安定性と運用の予見性であり、海南がそれをどこまで積み上げられるかが次の焦点になる。
