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米CNNは2025年12月29日、中央情報局(CIA)が今月、ベネズエラ沿岸の港湾施設を無人機で攻撃したと報じた。事情を知る関係者の話として、標的は麻薬の積み替えに使われていたとみられ、現場に人がいなかったため被害は出ていないとしている。米国の対ベネズエラ作戦が「海上」から「領内」へにじむ点が焦点になる。
無人の桟橋が「作戦の現場」になる不確実さ
CNNによると、攻撃を受けたのは人里から離れた場所にある桟橋で、米政府は犯罪組織トレンデアラグアが薬物を保管し、小型船に移す拠点だとみていたという。大型港のコンテナヤードではなく、普段は人の往来が少ないとされる場所が狙われた点は、現地側にとって状況把握を難しくする。
一方で、現地当局の確認や映像など、第三者の裏づけは限られている。ReutersやAPによれば、トランプ大統領は「薬物を積む波止場の区域」を攻撃したと発言したが、どの機関が実行したかは明言しなかった。ベネズエラ政府の反応も伝えられておらず、情報が断片のまま先行している。
「麻薬対策」と「越境攻撃」の線引きはどこか
今回の焦点は、CIAの関与が事実なら、米国の対麻薬作戦の手段がさらに拡張したことになる点だ。CNNは米特殊作戦部隊が情報面で支援したとも報じたが、別報道では特殊作戦司令部が関与を否定したとされ、輪郭は揺れている。海上では9月以降、麻薬密輸船への攻撃が続き、APは死者を伴う作戦が積み重なっていると伝える。
背景には、トレンデアラグアを「外国テロ組織」などと位置づけて金融制裁をかける米政府の方針がある。だが、論点は作戦の実効性だけではない。主権侵害への反発、国際法上の説明、秘密作戦の透明性をどこまで確保するかというトレードオフが残る。今後、米政府が事実関係を公にするのか、ベネズエラ側がどう出るのかが次の分岐点になる。
参考・出典
- US hit drug boat loading facility in Venezuela, Trump says
- Trump hints that the US 'hit' a facility in South America | AP News
- US struck ‘big facility’ in Venezuela, Trump claimed without offering details | Donald Trump | The Guardian
- Exclusive: CIA carried out drone strike on port facility on Venezuelan coast – KTVZ
