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受話器の先から集まる声が、政局の音を変えた。毎日新聞が10月に公表した全国世論調査で、政党支持の分布が一気に入れ替わり、自民は9か月ぶりに20%台へ戻した。背景には、公明の離脱と日本維新の会の連立入り、そして高市早苗首相の新内閣発足がある。与野党の配置換えが、1か月でこれほど数字を揺らすことを示した調査だった。
数字が動いた理由を探る
自民党:26%
日本維新の会:8%
立憲民主党:7%
国民民主党:5%
参政党:5%
公明党:2%
れいわ新選組:2%
共産党:2%
日本保守党:2%
チームみらい:2%
支持政党なし:39%
今回の調査は、直近の政権発足直後の空気を映した。自民は前回比で着実に持ち直し、20%台を回復。内閣支持率も発足時として高い水準に乗せた。政権の顔が変わると、いったん評価を保留していた有権者が「様子見の支持」に傾くことがある。とりわけ今回は、女性初の首相誕生という出来事が関心を押し上げ、回答行動にも影響した可能性がある。
視線を連立再編に移すと、要因がさらに立体的に見えてくる。10月、自由民主党と日本維新の会は連立を組むことで合意した。政権の政策方向が具体化し始めると、期待と警戒が同時に膨らむ。維新の支持が上向いたのは、新たな役割への注目が集まったためだろう。一方で、既存支持との重なりや競合が表面化すれば、相互の評価は変動しやすい。
公明は与党から離れて野党の立場に回った。長く政権運営を支えてきた当事者が、監視と提言へ役回りを変える。支持の流れが穏やかに見えても、国会での振る舞いや政策距離の取り方次第で評価は剥がれも積み上げも起きる。今回の数字は、再編直後の「初期値」と受け止めるのが妥当だろう。
与野党の配置換えと支持の行方
与党内では自民が軸足を保ちつつ、維新が政策推進の新しい接合点となった。経済や規制改革での共通項が強調されれば、短期的には「決める力」への期待が得票行動にも滲む。他方で、与党に近い立場を模索してきた国民民主は、調整役の座を新連立に明け渡した形となり、相対的に支持を落とした。役割の明確さが支持の強さにつながるという、政党政治の古い法則が今回は素直に現れた。
野党側では、維新の与党入りで序列が動いた。立憲民主は依然として最大野党だが、比較対象が変われば評価軸も変わる。与党と対峙する論点をどう分かりやすく束ねるか。国会での追及だけでなく、生活に届く代替案の提示が問われる。連立から離れた公明は「是々非々」を掲げ、個別法案での賛否で存在感を狙う。多様な野党が並立する構図は、有権者の選好を細かく拾う半面、争点の焦点がぼやけやすい。
無党派層の比率は高止まりした。支持する政党はないという態度は、単なる無関心ではなく、判断留保の表明でもある。新内閣の初動、補正予算の組み立て、物価や賃上げへの手当て。足元の具体策が届くほど、支持の糸は太くなるが、空振りが続けばすぐ細る。今はまだ、動く余白が多く残っている。
世代ごとの揺れが語るもの
年代別の支持では、前月からの戻りが目立つ層と慎重姿勢を崩さない層が分かれた。職場や家計に近いテーマほど、短期間で評価が切り替わる。賃上げの持続や公共料金の抑制、子育て支援の実感は、若い世代の支持を左右しやすい。一方で、高齢層には社会保障や医療の安定感が重い。新連立が掲げる制度改革が、各世代にどう届くかが次の分岐点になる。
今回の数字は、政策メニューそのものよりも「運転手が変わった」ことの影響が大きい。だが、熱気は持続が難しい。補助金の出口や税制の再設計といった痛みを伴う判断に踏み込めるか。与党内の調整、野党からの修正提案、地方からの現場知。これらを重ねて初めて、支持の基盤は硬くなる。世論調査(有権者に電話やネットで意見を尋ねる調査)は、その途中経過を映す鏡にすぎない。
毎日新聞の10月調査が示した趨勢は、連立の組み替えと首相交代という二つの出来事が重なった結果だと読める。現時点で確認できる公式発表や大手報道でも、自民と維新の連立合意、公明の野党転出は裏づけられている。数字の細部は今後の追加公表や各社調査で整理が進むはずだ。熱が落ち着いたとき、どの政策が生活を変えたかが評価の芯になる。