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米国がベネズエラへの圧力を一段と強めるなか、キューバ政権内の一部勢力が「マドゥロ大統領なき後の地域情勢」について米政府関係者に接触したと、関係筋2人が5日までに明らかにした。誰がどのポストから動いたのかは伏せられており、水面下の動きに過ぎないとみられる。それでも、長年マドゥロ政権の後ろ盾とみなされてきたキューバが、いま何を計算し、地域にどんな波紋を広げうるのかが新たな焦点になっている。
高まる軍事緊張の陰で、揺れる地域の安心
ここ数カ月、米国は「麻薬対策」などを名目にカリブ海周辺への軍事展開を拡大し、ベネズエラ周辺の船舶への攻撃や空域の制限に踏み込んできた。国連安全保障理事会でも、こうした動きが地域の緊張を一段と高めかねないとの懸念が繰り返し示されている。ベネズエラ国内では長引く経済危機に加え、武力衝突への恐れが市民の不安を増幅させている。
中南米の周辺諸国にとっても、政権交代や混乱が難民流出や越境犯罪の拡大につながるとの懸念は根強い。特にカリブ海沿岸の小国にとって、ベネズエラ情勢は治安だけでなく、エネルギー供給や海上交通にも直結する問題だ。米国とベネズエラの対立が長期化するほど、どの国も「どこまで巻き込まれるのか」という計算を迫られている。
キューバの事情も複雑だ。島内では電力網の不安定さや燃料不足が深刻化し、その背景には同盟国からの石油供給減少もあると報じられてきた。ベネズエラとの関係悪化や制裁強化が進めば、キューバ社会への打撃は一段と大きくなりうる。そのなかで、政権内部の一部がベネズエラ情勢の行方を米国側と探り始めたとしても不思議ではない、との見方もある。
米国の圧力とキューバ政権内の「保険」
トランプ政権はこれまで、マドゥロ大統領の退陣を公然と促し、情報提供への巨額の報奨金を提示したほか、中南米での秘密工作をCIAに認めたとする報道も確認している。ベネズエラ上空や周辺空域を「事実上の閉鎖状態」とみなすべきだと主張し、地上作戦への言及も重ねてきた。圧力の矛先はマドゥロ政権に向けられているが、その余波は支援国キューバにも及んでいる。
こうした状況で、キューバ政権内の一部が「マドゥロ後」を含む地域のシナリオを米側と話し合い始めたという事実は、少なくとも一部の権力層がリスク分散を図っている可能性を示す。もっとも、その動きが政権全体の方針なのか、情報機関や外交部門など限られた担当部局レベルなのかは、現時点では明らかでない。公式な外交交渉ではなく、将来に備えた「打診」の段階にとどまる可能性もある。
表舞台でのメッセージは、これまでどおりだ。キューバ政府は、米国の対ベネズエラ政策を強く批判しつつ、麻薬取締りでは米沿岸警備隊への情報提供を続けていると説明している。一方で、国連など国際機関は、米軍の攻撃がさらに拡大すれば地域の平和と国際法の観点から重大な懸念があると指摘し、自制と対話を繰り返し呼びかけている。水面下の接触は、こうした圧力と懸念のはざまで、キューバ自身がどこまでリスクを背負うのかを探る「保険」にも見える。
マドゥロ政権の行方がなお不透明ななか、キューバと米国の静かな駆け引きは、ベネズエラをめぐる力学が固定されたものではないことを物語る。ただ、その変化が市民の安定と地域の緊張緩和につながるのか、それとも新たな不安定要因になるのかは、まだ見通せない。
参考・出典
- ‘Elements’ within Cuba have contacted US officials about Maduro, sources say
- 情報BOX:ベネズエラ軍は米軍の攻撃があった場合どのように対抗するのか
- Cuba begins restoring power to Havana, provinces after partial grid collapse
- トランプ氏、CIAにベネズエラ秘密作戦承認 マドゥロ政権に圧力
- Cuba says island is no ‘black hole’ on drug trafficking route to US
- UN urges restraint as US strikes in southern Caribbean escalate tensions with Venezuela
- ‘Elements’ within Cuba have contacted US officials about Maduro, sources say
- 外交青書2025 第2章 第3節 第2項 米国情勢
