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大日本印刷(DNP)は2025年12月9日、ナノインプリントリソグラフィー(NIL)向けに回路線幅10nmのテンプレートを開発したと発表した。1.4nm世代相当のロジック半導体にも対応できるとし、極端紫外線(EUV)などの露光工程に比べ電力消費を約1/10に抑えるという。狙いは、先端半導体の「コストと電力」という二重の重さに、別の逃げ道を用意することだ。
露光を減らす発想が、工場の制約を変えるか
NILは、回路パターンを刻んだ型を基板に押し当てて転写する微細加工技術だ。DNPが今回示したのは、線幅10nmのテンプレートを軸に、EUVが担ってきた一部工程の置き換えを視野に入れる選択肢である。設備投資だけでなく運用時の電力が論点になりやすい中で、電力を約1/10にできるという説明は、製造現場の関心を引きつける。
半導体の微細化は、最先端の工場ほど「露光の重さ」に左右される。EUVの導入は、装置価格だけでなく電力や周辺インフラも含めた負担になりやすい。DNPは、EUV工程の一部代替に加え、EUVの生産プロセス自体を持たない顧客のニーズにも触れている。露光一本足の投資構造に対し、型を供給する側が工程の分岐点を作れるかが焦点だ。
量産は2027年目標、テンプレートは「供給できて初めて価値」
DNPは顧客との対話を深めながら評価作業を進め、2027年の量産開始を目指すとしている。NILで2030年度に、2024年度比で40億円の売り上げ増加を目標に掲げた。ここで重要なのは、テンプレートが「作れた」だけでは市場が動かない点である。量産に耐える供給体制と、顧客側のプロセス設計に入り込めるかが、数字の実現性を左右する。
発表内容は、2025年12月17日から19日まで東京ビッグサイトで開かれるSEMICON Japan 2025でも展示される予定だ。NILはテンプレートに加え、装置や材料など周辺の整備が前提になる。たとえばキヤノンも同展示会で、ナノインプリント技術を用いた微細化や省電力化をうたう装置の紹介を予告している。工程の選択肢が増える一方で、どの段階まで置き換えが進むのかという現場の問いは残る。
参考・出典
- 最先端半導体向けに回路線幅10nmのナノインプリント用テンプレートを開発 | ニュース | DNP 大日本印刷
- DNP、1.4nm世代にも対応可能な回路線幅10nmNIL用テンプレートを開発
- DNP Achieves 10nm Line Pattern Resolution on Nanoimprint Template for Cutting-Edge Semiconductors | Business Wire
- Event Overview | SEMICON Japan(SEMI)
- キヤノンが「SEMICON Japan 2025」に出展 半導体製造の多様化に対応する装置や環境配慮の取り組みを紹介 | キヤノングローバル
