EU、2026〜27年にウクライナへ900億ユーロ融資決定 独極右政党AfDが非難

900億ユーロ融資に反発 ドイツのAfD、欧州連合を批判

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欧州連合は2025年12月18日夜から19日にかけた首脳会議で、2026〜27年にウクライナへ計900億ユーロの融資を行う方針を決めた。ドイツの右派政党AfDは19日、共同代表名の声明で計画を「政治・財政の失策」と非難し、負担は結局欧州の納税者に戻ると主張した。

凍結資産は使わず、EUの信用で借りる仕組み

今回の融資は、EUが資本市場で共同調達し、EU予算の余裕枠を担保にする設計だ。ロシアの凍結資産を「今すぐ」取り崩す案は合意に至らず、まずはEUの信用を前面に出して資金を確保する形になった。欧州理事会は、融資は将来の賠償が得られてから返済される建て付けも示している。

一方で、凍結資産が論点から消えたわけではない。EU域内で約2100億ユーロとされるロシア資産の多くをベルギーの決済機関Euroclearが抱える事情もあり、法的リスクや報復懸念が強い国が慎重姿勢を崩さなかった。最終的に「強化協力」の枠組みを使い、チェコ、ハンガリー、スロバキアの財政負担を発生させない形で合意をまとめた。

AfDが突いた「誰がツケを払うのか」という不安

AfDは19日、共同代表のアリス・ヴァイデル氏とティノ・クルパラ氏の名で、融資を「EUの共同債務」で賄うこと自体を問題視した。賠償も資産没収も実現しなければ、最終的に負担が欧州側、特にドイツの納税者へ転嫁されるとの見方を示し、フリードリヒ・メルツ独首相の対ロ強硬姿勢がリスクを拡大すると批判した。戦況についても、勝つのはロシアだと主張している。

これに対し、EU側は「資金繰りが途切れること」自体がウクライナの抵抗力を削ぐとの危機感を前面に出す。欧州理事会の決定は、2026年第2四半期以降の支援継続を念頭に置いたもので、ウクライナ財務省も歓迎を表明した。ただ、制度化には欧州議会やEU理事会の手続きが残る。支援の意義と、負担の見えにくさ。欧州の結束は、国内政治の疑念にどう耐えるかが次の焦点になる。

参考・出典

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