イスラエル軍、ガザ南部で避難テント空爆　子ども含む5人死亡

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2025.12.04

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パレスチナ・ガザ地区南部ハンユニスの海岸側アル・マワシ地区で、12月3日（現地時間）、イスラエル軍の航空機が避難民用テントを攻撃し、子ども2人を含む5人が死亡した。現場近くのクウェート野戦病院の医療関係者によれば、負傷者も多数運び込まれているという。一時的な避難先にすぎないテントが標的となる中、「逃げた先は本当に安全なのか」という問いが、避難生活を続ける住民の前にあらためて突きつけられている。

テントで暮らす避難民、重なる移動と「安全地帯」の脆さ

攻撃を受けたテント群は、戦闘の激しい都市部から逃れてきた人々が、海岸沿いの砂地に張った簡易な住まいだ。クウェート野戦病院の医療スタッフは、イスラエル軍機の攻撃で5人が死亡し、複数の負傷者が治療を受けていると証言している。現場付近のこの病院は、もともと簡易手術や救急処置を担う施設だが、戦闘長期化に伴い大量の負傷者と避難民を抱え込んできた。

この地域には、ガザ北部や中部から繰り返し移動を強いられた家族も多い。国連などの推計では、ガザの住民の大半が一度以上の避難を経験し、テントや仮設シェルターでの生活を余儀なくされているとされる。しかし、いわゆる「安全地帯」とされた沿岸部でも、今回のようにテントが直接攻撃にさらされることで、避難民の間には「どこにも安全な場所はない」との諦めにも似た声が広がっているという。

加えて、こうしたテント生活は天候にも弱い。今年11月には、同じハンユニスのクウェート野戦病院や周辺のテントが豪雨で冠水し、病院の一部機能が一時停止するなど、住民は自然災害と戦闘の双方にさらされてきた。医療体制も住環境も不安定な中での空爆は、被害をさらに拡大させやすい構造を浮かび上がらせている。

病院のそばで続く攻撃　医療への打撃と国際法の懸念

今回の攻撃地点は、クウェート野戦病院の至近であり、病院関係者によれば、避難民向けのシェルターキャンプが「狙われた」とされる。イスラエル軍は、南部ガザでハマス戦闘員を標的とした攻撃だったと説明しているが、地元の民間防衛当局や医療側は、犠牲者の多くが一般市民、とりわけ子どもや女性だと強調している。

ガザでは、医療施設そのものや敷地周辺が攻撃を受ける事例がたびたび報告されてきた。例えば今年4月には、別の場面でクウェート野戦病院の門付近が空爆を受け、医療従事者が死亡し複数が負傷したと、米公共放送PBSなどが伝えている。病院や救急車への攻撃は、国際人道法が禁じる「医療への攻撃」に該当する可能性があり、世界保健機関（WHO）は、紛争開始以降ガザ地区で数百件に及ぶ医療施設・搬送手段への攻撃を確認し、「保健システムは崩壊寸前だ」と警告している。

ガザ保健当局によれば、2023年10月の戦闘開始以来の死者数は7万人を超え、その中には多数の子どもが含まれる。一方、イスラエル側は民間人の犠牲を最小限に抑えていると主張しつつ、武装組織が住宅地や医療施設を軍事目的に利用していると非難している。双方の主張は平行線をたどるが、避難民キャンプや病院近くでの攻撃が繰り返される現実は、「治療と保護の場」であるはずの空間が、必ずしも安全ではないことを示し続けている。

停戦合意後も散発的な攻撃と報復が続き、限られた医療資源が損なわれるなか、最前線で負傷者を支える医療従事者もまた危険にさらされている。野戦病院のテントのすぐそばで避難民のテントが炎に包まれたという今回の出来事は、「戦火から逃れ、治療を受けるための場所」が、いかに脆い足場の上に成り立っているのかを静かに物語っている。