ドイツのメルツ政権、連邦情報局にサイバー作戦権限付与を検討

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2025.12.19

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ドイツのメルツ政権が、対外情報機関の連邦情報局（BND）の役割を「収集・分析」から一歩進め、サイバー作戦や妨害工作の実行まで可能にする法改正を検討している。2025年12月18日、北ドイツ放送（NDR）などが草案の存在を報じた。

「特殊事態」で動けるBND、歯止めはどこまで機能するか

報道では、BNDが実行に踏み切れるのは「情報機関としての特殊事態」が認定された場合に限る設計とされる。国家安全保障会議にあたる枠組みで判断し、連邦議会の議会監視委員会（PKGr）の3分の2の同意も求める案だという。

想定されるのは、攻撃元のネットワークに働きかけて通信を迂回させたり、攻撃に使われるIT基盤を停止させたりする能動的対応だ。住居への侵入による機器設置や、部品を密かに改変して無力化する工作、AIによるデータ分析や顔認証の活用も盛り込まれる可能性がある。

背景には、サイバー攻撃、偽情報、インフラ妨害が一体で襲う「ハイブリッド脅威」の増加がある。AP通信は、ドイツがロシアによる妨害やサイバー攻撃、選挙介入を問題視して大使を召喚したと伝えた。Reutersも、ドローンを巡る諜報や破壊工作に備える合同拠点がベルリンで始動したと報じている。

ただ、国外情報機関に実力行使を担わせれば、警察権や軍事行動との境界が揺れ、監視の拡大や「やり過ぎた反撃」が争点になりうる。草案はまだ初期段階で、司法・国防などの省庁が意見を求められているという。迅速さと統制を両立できるかが、法案審議の核心になりそうだ。