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トランプ米政権は12月3日、高度な外国人技術者向けの就労ビザ「H-1B」の申請者について審査を一段と厳しくすると発表した。米国務省の内部メモでは、言論の自由の「検閲」に関わったとみなされる申請者はビザを拒否する対象になり得るとされる。ビザ審査の名の下で表現の自由をどこまで守れるのか、その線引きが問われている。
技術者と企業に広がる不安
H-1Bは、米企業で専門職に就く高度技能の外国人を雇うための主要な仕組みであり、ITや金融、研究開発など幅広い分野の人材が利用している。この審査強化により、申請の遅延や追加の聞き取りが増えれば、採用計画の見直しや内定取り消しにつながる恐れがある。ロイター通信などは、すでに渡航準備を進めていた技術者から戸惑いの声が上がっていると伝えている。
インド紙タイムズ・オブ・インディアなどの報道によれば、内部メモは虚偽情報対策やコンテンツ審査、オンライン安全などの業務に従事した経歴を重点的に確認するよう各公館に指示しているとされる。とりわけSNS運営やプラットフォーム企業で働く人材は、自らの業務が「検閲」と見なされないか不安を抱きやすい。インドなどアジアのIT人材はH-1Bへの依存度が高く、送り出し国でも就職先の選び方に慎重になる動きが出かねない。
「反検閲」を掲げる政権の思惑
今回の方針は、米移民国籍法の規定を根拠に「保護される表現の検閲に関与した外国人は入国を認めない」という姿勢を打ち出すものだ。ホワイトハウスの公開資料によれば、トランプ大統領は2025年1月、「連邦検閲の終結」を掲げる大統領令を発出しており、政府機関と民間企業の協調による言論抑圧を問題視してきた。ビザ審査を通じて、同じメッセージを国外の人材にも示そうとしているとみる専門家もいる。
一方で、H-1B自体に対する締め付けも進んでいる。9月には一定の例外を除き新規入国を制限する大統領宣言が出され、企業にはより高いコスト負担が求められるようになった。表向きは賃金ダンピング防止や国家安全保障の名目だが、移民全体の流入を絞り込む狙いが色濃いとの指摘も、ワシントン・ポストなど米紙で相次いでいる。今回の「検閲」条項は、そうした移民制限の流れと「表現の自由」政策を結び付ける役割も担っている。
言論の自由と入国管理、揺れる境界線
ロイター通信の報道では、人権団体や移民弁護士が、政権の政治的立場に批判的な活動家や研究者が恣意的に排除される危険を指摘している。ビザ審査で「検閲への関与」を理由に不許可とする仕組みは、一見すると表現の自由を守る措置のようにも映るが、どの行為が合法なプラットフォーム運営で、どこからが不当な検閲なのか、その線引きは容易ではない。他国政府が自国企業や人材への差別的扱いだと反発すれば、外交問題に発展する可能性もある。
多くの先進国で、移民政策と安全保障、言論の自由のバランスは揺れている。今回のH-1B審査強化は、その交差点にある新たな一手だ。誰をどの基準で「検閲に関わった」と判断するのか、米国だけでなく世界の人材と企業が静かに見極めを迫られている。
参考・出典
- Trump administration orders enhanced vetting for applicants of H-1B visa
- Trump administration tightens H-1B visa vetting rules, targets applicants linked to censorship
- Trump administration orders enhanced vetting for applicants of H-1B visa
- Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers
- Proclamation 10973—Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers
