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2025年12月22日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット8号機で、飛行中に第2段エンジンの燃焼が計画より早く終わるトラブルが起きた。搭載していた準天頂衛星システム「みちびき5号機」は軌道投入前の段階で手順が止まり、文部科学省は打ち上げ失敗と発表し、原因究明の対策本部を設けた。
「みちびき」はすぐ困るのか、じわじわ効くのか
H3の8号機は22日10時51分に発射され、地上からは順調に見える場面もあったが、打ち上げから約30分弱で第2段エンジン燃焼の早期終了が伝えられた。第2段は、衛星を所定の軌道に乗せる最後の「もうひと押し」を担う部分で、ここで予定通りに加速できないと、衛星分離や投入そのものが成立しにくい。
今回の「みちびき」は、日本版GPSとも呼ばれる測位衛星の増強を担う。スマートフォンの地図やカーナビ、測量、物流など、位置情報は日々のインフラに近い。一方で、サービスは複数の衛星や地上側の補正で支えられており、ただちに全国で位置情報が使えなくなるというより、精度や安定性の「余裕」を積み増す計画が後ろにずれる影響が現実的だ。
原因究明は、次の打ち上げ計画の信頼を左右する
H3ロケット8号機は、12月中に複数回の延期を挟んできた。JAXAは12月13日、機体の搭載機器の確認が必要になったとして打ち上げを延期した経緯を説明し、その後も地上設備側の不具合で中止したうえで、22日に打ち上げ日を再設定していた。トラブルが「機体」か「運用」か、切り分けの難しさもにじむ。
ロケットの信頼性は、技術だけでなく、衛星側の開発計画、保険、調達、次の契約にも連鎖する。文部科学省が対策本部を置いたのは、失敗の原因を特定し、再発防止を工程表に落とし込む必要があるためだ。H3は後継の基幹ロケットとして「打ち上げられること」自体が価値になる。失敗の説明責任をどこまで具体に示せるかが、次の一発を待つ側の不安を減らす試金石になる。
