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イラン支援を受けるレバノンの武装組織ヒズボラの指導者ナイム・カセム師が11月28日、イスラエルによる幹部司令官殺害を受けてテレビ演説を行った。「報復する権利があり、その時期はわれわれが決める」と述べ、場合によっては新たな戦争も起こり得るとの見方を示した。停戦から1年を経たレバノンで、市民は再び大規模衝突に巻き込まれる不安に直面している。
市民の暮らしに迫る「次の戦争」への恐怖
レバノン南部とベイルート郊外では、2024年11月の停戦合意以降も断続的な空爆が続いてきた。23日にはイスラエル軍の空爆で、ヒズボラの軍事部門トップとされるハイサム・アリ・タバタバイ氏を含む複数人が死亡し、数十人が負傷したとレバノン当局は発表している。前線から離れた首都近郊が再び標的となったことで、戦闘は終わっていないとの感覚が市民の間で強まっている。
カセム師は演説で、イスラエルがさらなる大規模空爆を示唆しても、ヒズボラの姿勢は変わらないと強調した。その一方で「将来の戦争が起こる可能性はあるし、ない可能性もある」とも語り、行動の具体的な中身は伏せた。この曖昧さは、報復によって停戦が完全に崩れ、大規模な報復合戦に発展するのではないかという市民の不安をかき立てている。
南部国境地帯では、前回の戦闘で家を失い仮住まいを続ける人々も多く、インフラの復旧も途上だ。そこへ新たな軍事行動が重なれば、病院や電力網が再び機能不全に陥る懸念がある。カセム師は、近く予定されるローマ教皇の訪問が和平に寄与することを期待すると述べたが、爆撃音が続くなかで、その言葉を現実的な希望として受け止められる市民は多くない。
ヒズボラ指導部が計算する「報復の権利」
カセム師は、タバタバイ氏殺害を「露骨で残虐な攻撃」と位置づけ、「われわれには応じる権利がある」と繰り返した。イスラエル側が幹部暗殺でヒズボラの軍事力再建を阻もうとしているとみなし、無反応であれば抑止力が損なわれるとの認識が背景にある。そこで報復は避けないが、あえて時期や方法を明かさないことで、イスラエル側の計算を鈍らせようとしている。
イスラエル軍は、空爆で死亡したタバタバイ氏を「戦力を立て直す作戦を指揮する最高レベルの司令官」と説明し、今回の標的型攻撃は自衛だと主張している。一方で、この攻撃は、2024年に米国仲介で結ばれた停戦合意の精神に反するとの指摘もある。ヒズボラ側は、自らは停戦条項を順守しているのにイスラエルがレバノン領内への攻撃を続けていると訴え、暗殺に応じなければ「一方的にやられっぱなしになる」との被害意識を強めている。
演説では、レバノン政府が南部住民を守れていないとして批判も展開した。カセム師は、イスラエルに対抗するには国軍と市民、そして「抵抗勢力」が一体となる国家的な防衛計画が必要だと主張し、ヒズボラの武装継続を正当化したかたちだ。国際社会が武装解除と国家独占の治安体制を求めるなか、こうしたメッセージは国内政治の主導権争いとも重なっている。
停戦体制と国際社会、試されるレバノンの選択
2024年の停戦合意は、ヒズボラがリタニ川以南から主力部隊を引き上げ、代わりにレバノン軍が展開することを柱としていた。イスラエル軍は段階的撤退を約束したが、実際には南部の複数地点に駐留を続け、空爆や偵察飛行もやまず、停戦違反との批判を受けている。イスラエル軍報道官は最近、レバノン軍の武装解除努力は不十分だとして非難し、ヒズボラの解体を改めて求めた。
米国などは、レバノンに単一の国軍体制を確立するにはヒズボラの重武装を手放すことが不可欠だと主張してきた。しかしカセム師は、イスラエルが南部から完全撤退し空爆をやめない限り、武器は抑止のために必要だと繰り返している。停戦後もイスラエルの攻撃による民間人の犠牲が報告されるなかで、武装解除を求める外圧は、ヒズボラ支持層には「一方的な譲歩」を迫るものとして受け取られている。
今回の暗殺と「いつか必ず応じる」との宣言は、停戦体制のぜい弱さを改めて示した。ヒズボラが反撃すればイスラエルも一層の軍事行動で応じ、周辺国や欧米を巻き込む恐れがある。一方で、国軍の役割を強めつつ武装勢力の影響力をどう抑えるかという難題は、戦火がやんでも先送りされてきた。レバノンがどのような防衛と共存のかたちを選ぶのかが、次の衝突を防げるかどうかを左右している。
