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日本行きの準備を進めていた香港の学校現場で、計画書がそっと片付けられた。日本政府の青少年交流事業に参加する予定だった中学生らの派遣を、香港政府が見送ったと現地メディアが伝えたためだ。背景には、高市首相の「台湾有事」をめぐる国会答弁に強く反発する中国政府の動きがあり、その余波が香港の教室にも届いた形である。一方で、市内の旅行会社には依然として日本ツアーの広告が並び、人々の足はすぐには止まっていない。
政治の波が教育旅行を止めた
香港紙「明報」などは11月22日、香港政府が日本政府主催の青少年交流事業への参加を中止すると教育当局が決定したと報じた。12月3〜13日に日本を訪れる予定だった中学生16人と教師2人の団体で、事業では学校訪問やホームステイを通じて日本の生活や文化に触れる計画だったという。香港側は理由として「日本で中国人が襲撃される事件が増えている」と主張し、生徒と教師の安全確保を優先したと説明している。
この交流事業は、日本政府が近隣諸国や地域の若者を招き、相互理解を深めることを目的に続けてきた公的プログラムだ。今回の中止は一つの団体に限られるものの、高市首相の台湾情勢に関する国会発言に対し、中国政府が強い姿勢を示し、日本への旅行に慎重になるよう国民に注意喚起した流れの中で起きている。日本側も、中国で日本人学校の児童が襲撃された事件を受けて、中国への学校旅行の安全確認を求めるなど、互いに相手国の治安を問題視する場面が増えている。こうした応酬の延長線上で、若者どうしの交流の場が削られている現実が浮かび上がる。
続く日本ブームと香港経済へのまなざし
香港政府は11月15日、日本を訪れる際には安全面への注意を強めるよう、政府サイトなどで住民に呼びかけた。ただし中国本土のように渡航そのものの自粛を求めてはいない。日本政府観光局の統計では、2024年に香港から日本を訪れた人は過去最多のおよそ268万人に達しており、日本旅行は今も身近な娯楽として定着している。警戒情報が出た後も、香港紙「星島日報」は日本行きツアーの大規模なキャンセルは確認されていないと伝えており、観光の流れは大きく変わっていない。
一方で、中国本土からの日本旅行客に対する警戒が高まる中、香港社会の空気は一様ではない。60代の男性は取材に応じ、日本を訪れる中国人観光客が減ればホテルの予約がしやすくなり、自分たちはむしろ旅行しやすくなるとの率直な感想を語った。香港英字紙は、政治学者の見方として「香港は北京に過度に同調すべきではなく、日本を標的にしたボイコットは香港経済にも痛手となる」と紹介している。観光や小売り、航空といった日本との往来に依存する産業を思えば、政治的メッセージと生活の利害の間で、住民や企業が静かに距離感を測っているようにも映る。
