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インドの国営インド石油（IOC）が、制裁対象外の取引相手からロシア産原油5カーゴ（12月到着分）を調達したことが31日、複数の取引筋で分かった。米国がロスネフチとルクオイルへの制裁を強化し、インドに購入停止を迫る中でも、IOCは規制順守の枠内で調達を再開したとみられる。現時点で確認されている範囲では、同社はコメントしていない。
位置づけと背景
一部報道によれば、IOCは12月引き渡しのESPO原油約350万バレルを手当てし、インド東部の港で受け取る計画である。価格はドバイ原油の指標とほぼ同水準で、売り手は明らかにされていない。米国が先週、ロシアの二大石油会社に追加制裁を科し圧力を強めるなか、他のインド勢が購入を見合わせる動きも出ていたが、IOCは非指定主体との取引に限定する形で需給確保を図ったとみられる。
IOCの財務責任者は28日、ロシア産原油そのものは制裁対象ではなく、対象は特定企業や船舶・保険であるとして、条件を満たす限り調達を継続する考えを示していた。今回の調達はその方針に沿うもので、同社は過去に制裁関連の疑義が生じた貨物を取り消した例もあると伝えられている。中国の需要変調でESPOが割安となる局面もあり、コスト面の妙味が再び意識された可能性がある。
影響と今後の焦点
インド政府は2月、ロシア産の調達について「制裁に適合した貨物・船舶に限る」との姿勢を明確にしており、IOCの対応もこの枠組みに沿うと解される。他方で、米国の追加制裁や海上保険・運賃の変動、いわゆるシャドー船団を巡る監視強化が続けば、調達コストと実務の不確実性はなお高い。現時点で確認されている範囲では、IOCの追加的な購入計画や価格条件の詳細は示されていない。
短期的には、ESPOなど極東発の軽質油に対する選好が市況と割安感に左右されやすく、他国の需要動向がインド向けの手当て余地を左右する構図が続くとみられる。中期では、インド各社の設備稼働や燃料需要の季節性、価格上限メカニズムの運用状況がロシア産の受け入れ可否と採算に影響する。制裁順守と安定調達のバランスを巡る綱引きが一段と強まっている。
