イスラエルがソマリランド(ソマリア北部)承認を擁護 アラブ連盟ら懸念

ソマリランド承認を擁護、イスラエルが安保理で主張

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イスラエルがソマリランド(ソマリア北部の事実上の自治地域)を国家として承認したことをめぐり、2025年12月29日の国連安全保障理事会で、イスラエル側が決定を擁護した。これに対し、アラブ連盟やパキスタンなどは、ガザの住民を域外へ移住させる構想や、港湾を軍事拠点として使う意図がないかと懸念を示した。

「承認」が連想させるガザの出口論

会合でアラブ連盟は、パレスチナ人の強制移住の促進や、ソマリア北部の港の軍事利用につながる措置は受け入れないと述べた。パキスタンも、イスラエルが以前からソマリランドに言及してきた経緯を踏まえ、今回の承認は深刻な問題だと訴えた。承認そのものが、ガザの「出口」をどこに求めるのかという疑念を呼びやすい。

イスラエル側は、承認がソマリアに敵対するものではなく、将来的な対話を閉ざすものでもないと説明し、農業や医療、技術などの協力を掲げた。ただ、ソマリア政府は外国軍基地の設置を認めない立場を明確にしており、港や空港といったインフラの利用は、民生と安全保障の線引きが難しい。争点は「協力の名目」と「軍事・移住の疑念」をどう切り分けるかにある。

反発の中心は「領土の一体性」と前例

国連側も地域の安定への影響を警戒している。国連政治・和平構築局は、イスラエルの承認を受けて各国・地域機構がソマリアの主権と領土保全を重ねて強調したと説明し、安保理決議でもソマリアの一体性が確認されてきたと指摘した。アフリカ連合(AU)委員長も12月26日、独立承認は危険な前例になり得るとして反対を表明している。

欧州連合(EU)も12月27日、ソマリアの統一と領土保全を支持し、当事者間の対話を促した。英国政府は12月29日、ソマリランドを独立国として認めないと表明している。イスラエルの一手が各国の追随を生むかは見通せず、むしろガザをめぐる疑念が尾を引けば、紅海周辺の安定や人道問題の議論まで絡み、外交コストが増える。安保理の場で残る問いは、承認の先に何を実装するのか、その透明性である。

参考・出典

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