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キーボードを打つ音が静かな会議室に響いた。中国政府の反発が続くなか、在日台湾同郷会など在日台湾人の団体とチベット、ウイグル、南モンゴル、香港、民主中国の各団体が2025年11月19日、高市早苗首相の台湾有事発言を支持する共同声明を公表した。それぞれが故郷で続く抑圧への危機感から、日本の議論を後押ししようとしている。
高市首相発言を支える在日13団体の声
声明に名を連ねたのは、在日台湾同郷会をはじめ、在日チベット人コミュニティ、日本ウイグル協会、南モンゴルクリルタイ、世界モンゴル人連盟、Stand with HK@JPNなど13団体である。中国政府による抑圧に抗議してきた人々が、今回は日本の首相発言をめぐる論争に立場を示した。参加団体の多くは日本社会で長年活動を続けてきた。
声明は、高市首相が台湾有事を巡り「存立危機事態になり得る」と答弁したことについて、日本と周辺地域の安全保障を考えるうえでの仮定の議論であり、政府の公式見解として問題はないと評価した。また、中国が武力によって現状変更を試みない限り、日本がその事態に陥ることも自衛隊派遣も生じないと強調している。中国側の批判とは対照的な内容だ。
参加団体の多くは、それぞれの地域で中国当局による人権侵害や自治の後退を身近に感じてきたと主張している。その体験から、台湾有事をめぐる日本の議論にも敏感であり、今回の声明では自らの歴史と重ねながら、台湾の人々の意思を尊重すべきだと強い言葉で訴えた。声明文には、各地域の経験を並べて中国の行動パターンを描き出す工夫も見られる。
「存立危機事態」と台湾をめぐる緊張の背景
今回の議論の鍵になっている存立危機事態とは、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃によって、日本の存立が脅かされ国民の権利が根底から覆される明白な危険があると政府が判断した場合に認定される事態を指す。2015年の安全保障関連法で導入され、限定的な集団的自衛権の行使に結びつく重い概念だ。重要影響事態よりも一段深刻な局面として位置づけられている。
高市首相が11月7日の国会で、台湾有事がこの事態に当たり得ると述べたことに対し、中国外務省は「日本が台湾情勢に武力介入すれば侵略行為であり、真正面から痛撃を加える」と強い表現で警告し、発言の撤回を求めている。こうした激しい応酬のなかで、声明は台湾の主権は台湾に住む人々にあるとし、中国は根拠を示し同意を得るべきだと反論した。
声明はさらに、中国が南モンゴルや東トルキスタン、チベットを武力で併合し、香港では「一国二制度」の約束を守らなかったと列挙し、権力の空白を突いた侵略が繰り返されてきたと振り返る。そうした歴史認識を前提に、自由と民主主義を共有する国々は専制国家による力の行使に共同で向き合うべきだと呼びかけている。
台湾や周辺地域をめぐる緊張が続くなか、日本の一室から発信された小さな共同声明は、中国と日本双方の激しい言葉の応酬とは別の場所で、当事者としての静かな危機感と願いをにじませている。