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海中や海底に敷設された機雷を取り除く掃海艦の新造艦が、形を現した。防衛省は2025年12月18日、横浜市鶴見区のジャパンマリンユナイテッド(JMU)横浜事業所鶴見工場で命名・進水式を開き、艦名を「けらま」とした。就役は2026年度の予定で、海の「通り道」を守る仕事が、また1隻ぶん増える。
「危険が見えない」海域を、通れる場所に戻す
機雷は、ひとことで言うと船の航行を止めるための爆発物だ。水上から見えにくく、港や海峡、航路の出口などに少数でも置かれると、民間船の運航が止まり、護衛や輸送の計画も狂う。掃海艦は、そうした海域を探索し、無害化し、通行可能な状態へ戻すための専用艦である。「けらま」も同じ任務を担い、進水後は艤装工事や各種試験を経て、実任務に就く。
戦闘が起きてから整備するのでは遅いのが、機雷対策の難しさだ。海上輸送に依存する日本にとって、航路の安全は平時からのインフラに近い。海上自衛隊の艦名の付け方では、掃海艦艇は島名や海峡名などから選ぶのが標準とされる。式典は「新しい船を造った」というニュースであると同時に、海の安全を支える役割を、社会が見失わないための節目でもある。
FRPの「非金属船体」が、掃海の常識を支える
「けらま」は、あわじ型掃海艦の流れをくむ新造艦とされ、船体にFRP(繊維強化プラスチック)を用いる点が特徴だ。磁気機雷は、船体の磁気の変化を感知して作動するタイプがあるため、非金属素材の採用は艦の生存性に直結する。報道によれば、全長67m、基準排水量は約690トン、乗員は約50人で、最大速力は約14ノットとされる。武装は遠隔管制式の20mm機関砲などに限り、主役は掃海装置だ。
現場目線で重いのは、造ることよりも「回し続けること」かもしれない。JMU鶴見工場では2025年3月に同型艦「のうみ」の引渡式も行われており、艦隊の更新は着実に進む一方、任務は港湾防護から有事のシーレーン確保まで幅広い。防衛省は2025年8月の概算要求で、あわじ型の追加建造も掲げた。新しい艦名が増えるほど、運用・整備・人員育成の負担も同時に積み上がる。進水はゴールではなく、安定して出動できる戦力へ仕上げる長い工程の始まりだ。
