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23日夕、外務省のX公式アカウントに、冷静だが強い調子の文章が投稿された。数日前に在日中国大使館が、国連憲章の「旧敵国条項」を持ち出し、日本など第2次大戦の敗戦国に対する軍事行動に言及したことへの、政府としての正面からの応答だった。外務省はこの投稿で、条項は既に「死文化」しており、中国自身もその認識を共有してきたと強調した。
中国大使館の投稿と日本政府の応答
在日中国大使館は21日、自身のXアカウントで、国連憲章には旧敵国条項があり、日本やドイツ、イタリアなどが再び侵略政策へ向かう行動を取れば、中国や米英など国連創設国は安全保障理事会の許可なしに軍事行動を取る権利を持つと発信した。第2次大戦の戦勝国と敗戦国を分けるこの古い規定を持ち出し、現在の日本にも例外的な武力行使があり得るかのように示唆する内容だった。
これに対し外務省は2025年11月23日夕、同じX上で声明を公表した。投稿では、旧敵国条項について1995年の国連総会で「時代遅れで既に死文化した」との認識を示す決議が採択され、その際に中国も賛成票を投じたと説明した。さらに2005年の国連首脳会合では、憲章から「敵国」への言及を削除する方針を定めた決議が全会一致で採択され、中国もこれに加わっていると指摘し、大使館の発信は国連の判断と相いれないと批判した。
死文化したとされる旧敵国条項
旧敵国条項とは、第2次世界大戦の旧枢軸国を念頭に、国連憲章の一般的な武力行使禁止の例外として設けられた規定だ。憲章第53条や第107条などに散在し、戦勝国や地域機構が、旧敵国による侵略の再発を防ぐためであれば、安全保障理事会の事前承認なしに措置を取り得ると読める内容になっている。
しかし、旧敵国とされた国々が国連加盟国として受け入れられ、講和条約や安全保障の枠組みも整ったことで、これらの条項は事実上使われない存在になった。1995年の国連総会は、敵国条項はもはや時代遅れであり削除手続きに入るべきだとする決議を155か国の賛成で採択し、2005年の首脳会合でも憲章から「敵国」への言及をなくす方針が再確認された。こうした経緯から、国際社会では長く「死文化した規定」とみなされてきた。
半世紀前の条文が外交上のメッセージとして再び前面に出た今回のやり取りは、言葉の選び方ひとつが周辺国の不安を左右し得る現実を映し出し、その中で外務省の静かな投稿は事実で応じるという日本外交の姿勢をそっと示した。
