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日本とロシアの漁船が相手国の排他的経済水域（EEZ）で操業する「地先沖合漁業」を巡り、鈴木憲和農相は2025年12月26日の閣議後会見で、2026年分の漁獲枠などで合意に至らなかったと明らかにした。マダラ漁を中心に、現場の段取りが読みづらくなりそうだ。
港の冬に響く「枠待ち」 操業計画が立てにくい
地先沖合漁業の交渉は、互いのEEZでどれだけ獲れるかという「上限」を先に決める性格が強い。合意が遅れるほど、漁期に合わせた出漁日程や人員手配、燃油や氷の準備が後ろ倒しになる。水揚げが途切れれば、荷受けや加工の側も手持ちの計画を組みにくい。
鈴木氏は見通しが立っていないと説明しつつ、日本の国益と権益を守る結果を目指す考えを示した。交渉の対象はマダラのほか、サンマやスルメイカなども含まれる。現場では「いつ決まるか」が最大の不確実性になり、通常の年末進行がそのまま通用しない可能性がある。
協定が支える相互入漁 長引けば守るべき線が増える
枠組みの土台は1984年発効の「日ソ地先沖合漁業協定」で、日ロ漁業委員会が毎年、翌年の操業条件を協議する。EEZは沿岸から200海里までの海域で、沿岸国が資源管理などの権利を持つ。水産庁は2025年11月下旬に第42回会議を開く予定だとしていた。
論点は、合意を急いで操業の不安を減らすのか、それとも数量や条件で「譲れない線」を守り切るのかというトレードオフにある。実際、2025年分でも年末に合意できず継続協議になった経緯がある。交渉が長期化するほど、漁業者の負担と外交上の判断が絡み合い、次の一手をどこで切るかが問われそうだ。
