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参政党の神谷宗幣代表が2025年11月6日の参院本会議で、所信表明演説への代表質問に初めて立った。外国人受け入れの方針をただす言葉が議場の空気を引き締め、経済と社会の接点にある論点が浮かび上がった。高市早苗首相は人手不足の実情に触れ、既存制度の適切な運用と受け入れの在り方の検討を進める考えを示した。
初の代表質問、演台へ向かった一歩
名を告げられる前から立ち上がり、演台へ向かう足取りは迷いがない。党の象徴色であるオレンジのネクタイが目に入ると、議場に小さなざわめきが走った。神谷氏は冒頭、この場に立つのは初めてだと明かし、支持基盤の広がりとともに到達した節目であることを示した。形式に沿いながらも、語り口は街頭の延長にあるように見えた。
続いて、参政党が掲げてきた理念を簡潔に整理した。政府の役割を「暮らしと誇りを守ること」と位置づけ、今を生きる世代だけでなく先人やこれから生まれる子どもたちまでを含めるという視点を添えた。夏の選挙で前面に出したスローガンへの考え方にも触れ、過度なグローバリズムへの歯止めという問題意識を示した。
政策の幅は経済から安全保障まで広く、論点を素早く切り替えながら首相答弁を引き出していく。時間配分は抑制的で、要点を短いフレーズに収める構えだ。初登壇の高揚感を抑えつつ、次の一手を見据える余白を残す進め方で、与野党から視線が集まった。
外国人受け入れをどう整えるか
焦点になったのは外国人政策である。神谷氏は来日する人々の属性が多様化するなか、方針が曖昧なまま受け入れが拡大してきたと指摘した。受け入れ数の抑制と、地域社会に溶け込むためのルール整備や支援体制の構築を同時に進めるべきだと訴え、数の議論と統合の議論を対にして示したのが印象的だった。
また、国民の不安と不満に目を向けるべきだとし、政治不信の矛先が国会の制度論へ流れがちな現状に疑問を投げた。受け入れの効果を経済合理性だけで測らず、文化や慣習、治安の維持に配慮する視点を強調した。社会の許容量を見極めながらルールを厳格に運用し、統合を進めるという筋道を示した形である。
議場では欧州の経験も引き合いに出された。国内総生産の増加と引き替えに、社会保障や教育、治安への負担が増したとの見方があると述べ、受け入れ拡大の副作用に光を当てた。背景事情の異なる地域の比較には慎重さが要るが、制度設計の段階でコストと便益を同じテーブルに載せる必要があるという問題提起として受け止められた。
首相答弁が示した距離とこれから
高市首相は、人口減少下で人手不足が深刻な分野がある事実をまず認めた。そのうえで、既存の受け入れ制度を適切に運用しつつ、今後の基本的な在り方について調査と検討を進めると応じた。即断は避け、制度運用の精度を高める方向で足場を築く姿勢である。神谷氏の「抑制」を軸にした主張とは、慎重な距離が保たれた。
与野党の構図も、やり取りの余韻を深くした。政権が新たな協力関係の下で国会運営に臨むなか、受け入れの規模や地域負担の配分、教育・医療への公的支援など、細部の設計で調整が続く見通しだ。政党間で重なる部分と異なる部分が交錯し、結論は段階的に形を取っていく。議場の静けさには、その長い工程の気配があった。
論戦の最後に、拍手がゆっくりと収まった。数字や制度の語が並んだ後に残るのは、地域で暮らす人々の実感である。受け入れる側と来る側の双方にとって無理のない道筋を描けるか。急がず、しかし立ち止まらずに調整を重ねる歩幅が問われているように映った。
