神奈川県川崎市で液化水素基地起工、国際供給網の商用化条件検証へ

川崎で液化水素基地が始動 2030年度の商用化へ運搬船と連携検証

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川崎市の臨海部で27日、川崎重工業と日本水素エネルギーが液化水素基地「川崎LH2ターミナル」の起工式を開いた。国のグリーンイノベーション基金の支援を受け、2030年度までに大型の液化水素運搬船と組み合わせて運用し、国際水素サプライチェーンの商用化条件を国内で検証する計画だ。この新しい受け皿は、日本の水素調達戦略をどう変え、地元や利用者に何をもたらすのかを探ってみる。

川崎の港で動き出す水素インフラの受け皿

建設地は、製鉄所や火力発電所が並ぶ川崎区の人工島エリアだ。ここに完成する川崎LH2ターミナルは、国内で製造した水素を極低温まで冷却して液化し、大型タンクに貯蔵したうえで船舶やタンクローリーに積み替える拠点となる。まずは日本国内でつくった水素を受け入れ、将来の海外産水素の本格輸入に備える位置づけだと説明されている。

運営を担う日本水素エネルギーは、化学プラントや水素設備の知見を持つ企業からの出資を受けながら、液化から貯蔵、出荷までの一連の物流システムを整える。三菱ケミカルエンジニアリングも2025年に同社へ出資を決めており、液化水素サプライチェーン構築の中核企業としての役割が強まりつつある。

地元にとっては、新しいエネルギー関連産業の集積という側面も大きい。川崎の沿岸部はこれまでも石油やLNG(液化天然ガス)の基地として発展してきたが、今後は水素ターミナルが加わることで、脱炭素型のエネルギーハブへと性格を変えていく可能性がある。一方で、極低温液体を扱う設備の安全対策や、トラック交通の増加にどう向き合うかといった課題も、地域と事業者が共有していく必要がある。

豪州・神戸の実証から国内水素シフトへ

川崎重工はすでに、神戸空港島で世界初の液化水素受入基地「Hy touch Kobe(神戸LH2ターミナル)」を完成させ、豪州産水素を受け入れる実証を進めてきた。タンク容量約2500立方メートルの設備で、オーストラリアの褐炭由来水素を液化船で運び、日本で発電などに使う一連の流れを検証するプロジェクトだ。

しかしその後、豪州側での設備許認可の遅れなどから、2030年度までに褐炭由来水素を安定調達する計画は見直しを迫られた。ロイターによれば、川崎重工は豪州の褐炭水素の利用計画をいったん棚上げし、当面は日本国内で製造した水素を使う方針へ軸足を移したとされる。これに合わせて、将来の大量輸送を想定した16万立方メートル級の超大型船から、4万立方メートル級の比較的小型の液化水素運搬船に設計を改めている。

神戸の実証が「輸入モデルの技術検証」だったとすれば、川崎の新ターミナルは「国内水素を起点にした商用化への橋渡し」と位置づけられる。背景には、2050年カーボンニュートラルに向けて約2兆円規模で創設され、後に拡充されたグリーンイノベーション基金がある。この基金は、水素を含む重点分野で2030年ごろまでにコスト目標を達成し、社会実装まで一気通貫で支援する仕組みだ。

2030年の節目と、その先の水素サプライチェーン

グリーンイノベーション基金の水素プロジェクトでは、2030年に船上引き渡しベースで水素供給コストを1立方メートル当たり30円程度まで下げるという目標が示されている。川崎LH2ターミナルは、その前提となる大規模な液化・貯蔵・輸送の仕組みを実証する舞台だ。同じ時間軸で、豪州ではウッドサイド・エナジーと日本水素エネルギー、関西電力が連携し、H2Perthでつくる液化水素を日本に運ぶ構想も動き始めている。

もっとも、こうしたインフラ整備は巨額投資を伴い、そのリスクは最終的に電気料金や税負担として利用者にも跳ね返る。国内再エネの拡大やアンモニア・メタネーションなど他の脱炭素手段との競合もあり、水素の需要が計画どおりに伸びなければ、設備の稼働率が上がらずコストが重くのしかかる可能性もある。誰がどの段階までリスクを負うのかというガバナンス設計が問われる局面だ。

一方で、産業用燃料や発電向けに水素の需要が着実に立ち上がれば、川崎のターミナルは他港への展開モデルとなり、日本全体の水素調達の多様化にもつながる。川崎の岸壁で始まったこのプロジェクトは、単なる1基地の建設にとどまらず、「どこから、どんな水素を、どのコストで受け入れるのか」という日本の選択を試す試金石になっていくだろう。

参考・出典

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