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公明党の斉藤代表が2025年10月10日、連立離脱の方針を自民党の高市総裁に伝えた—。与野党の力学がきしむ中での一報だ。会談は同日午後2時前に始まり、終了後に関係者が明らかにした。企業・団体献金の規制強化を巡る溝が埋まらなかったことが背景にあるとみられ、四半世紀続いた自公連立の行方に緊張が走った。
静まり返った本部で何が起きたのか
党本部の廊下は一瞬、静まり返ったという。2025年10月10日の午後、両党の党首会談が始まったのは2時前。閉ざされた部屋で続いた協議の末、会談後に斉藤代表が高市総裁へ連立離脱の方針を告げたと関係者が語った。現時点で党の公式発表は確認されていないが、重い空気だけは確かに残ったと映る。
自公の交渉はこの数日、加速していた。7日には両党トップを含む協議で「3点中2点で気持ちを共有」との説明が出て、詰めの局面に入ったと受け止められていた。しかし、残る論点が結局、最大の障壁だった可能性がある。歩み寄りの糸口は見えたが、解きほぐせなかった構図が浮かぶ。
与党内外からは早くから悲観論が漏れていた。公明側では「100％のめないなら連立離脱は避けられない」との声が強まり、自民側でも「丸のみはできない。ダメなら離脱やむなし」との本音が広がっていた。両党の温度差がじわりと広がり、最後は閾値を越えたという見立てである。
埋まらなかった溝—企業・団体献金をめぐる攻防
対立の核にあるのが、企業・団体献金の扱いだ。自民党の派閥を巡る政治資金事件が尾を引く中、公明党は規制の抜本強化を迫ってきた。政治資金の透明性回復は与党共通の宿題だが、手法と踏み込みの度合いで両党の距離が縮まらなかった。連立の綱を軸にした信頼の問題でもある。
自民党は2024年以降、パーティー券の公開基準や透明化の拡充など段階的な見直し案を示してきた経緯がある。一方、公明党は将来的な企業・団体献金の見直しを含む強い措置を主張し、与野党協議でも先導役を担ってきた。両者の「どこまで踏み込むか」の線引きが最後まで重くのしかかった。
制度の細部は国会と党内手続きで詰める必要がある。だからこそ、政権運営の相互信頼が不可欠になる。年初から続く政治改革の議論で、公明は社会保障や税制と並行して寄り添う実務型の姿勢を見せてきた。しかし資金規正の核心では譲れない一線があり、ここが決定的な岐路になったとみられる。
連立の岐路とこれからの選択肢
今回の「離脱伝達」は、直ちに政権枠組みの崩壊を意味するわけではない。党内手続きや両党協議の再設定など、政治は階段を一段ずつ上る。高市総裁は直近まで「論点の一部は共有」と語り、協議継続の姿勢を示していた。糸口を再び手繰り寄せるのか、それとも別の針路を選ぶのかが焦点だ。
公明は与野党の争点で実務的な連携を重ねてきた経緯がある。社会保障や税制の将来像、給付付き税額控除など、超党派で詰める土台は残る。仮に連立を離れても、個別政策での協議や部分的な合意形成の余地はあるだろう。他方で、与党の国会運営は一段と繊細になり、選択の重みが増す。
一部報道によれば、両党幹部の間では当面の国会対応や予算編成への影響を最小化するための連絡チャンネルは維持する方針が検討されているという。現時点で確認されている範囲では、正式な離脱決定や新たな枠組みの提示は見えていない。政治の針は今、微妙な振れの中にあると映る。
