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与党の屋台骨を揺らす綱引きが続いている。7日に開かれた自民、公明の党首会談は、連立合意へ糸口を探る場となったが、核心の溝は埋まりきらなかった。高市自民総裁の保守色の濃い政策や「政治とカネ」問題への不信が、公明内に燻る離脱論を刺激している。先行きはなお不透明である。
歩み寄りはあったが、なお残る距離
会談は長時間に及び、政策項目の整理や手順の確認が進んだとみられる。関係者の説明では、靖国神社参拝や外国人政策など、これまで認識のズレが指摘されてきた論点で、高市氏から説明があり、公明側が評価できると受け止めた点もあったという。全体として前に進んだ空気もにじむが、決定的な合意には至っていないと映る。
背景には、政策の価値軸の違いが横たわる。保守層に強い支持を持つ高市氏は、安全保障や歴史認識で明確なスタンスを打ち出してきた。一方、公明は生活者目線の現実路線を重視し、対外関係でも摩擦回避を志向してきた。会談は、その差を埋めるための言葉の選び方、制度設計の微調整を詰める場になったが、基調の差異は簡単には消えないとみられる。
公明側には「性急な枠組み拡大」への警戒も根強い。地方組織には選挙の実務を担う現場の疲労感が残り、支持層の反応を慎重に見極める必要があるからだ。会談後も実務者協議は続くが、どの論点を先に解くのかで、交渉力学は大きく変わる。誰に有利な順番なのか、偶然ではなく意図の配置が問われている。
中国との関係と靖国参拝、交錯する思惑
公明と支持母体の創価学会は、中国との独自のパイプを長年築いてきた。近年も公明代表と呉江浩・駐日中国大使の会談が重ねられ、与党間交流の再活性化や相互往来の促進が語られてきた経緯がある。日中関係の安定は、公明の外交感覚の基底にあるテーマであり、国内の政局判断にも影を落とす。
靖国神社参拝は、まさにその接点である。参拝が実現すれば中国の反発が強まるとの警戒は、公明の側で消えていない。7日の会談でも、参拝をめぐる高市氏の説明があったとされ、公明側が一定の理解を示す場面もあったという。ただ、国際環境は一段と流動的で、日中の信頼回復に向けた実務的な布石をどう積むかは別次元の難題として残る。
一方で、公明の斉藤代表は平時から中国側要人と意見交換を重ねてきた。訪中団の派遣や与党交流の枠組みづくりを進め、緊張が走る局面でも対話の糸口を絶やさない姿勢が確認されている。7日前日の6日にも国会内で呉大使と面会したとの指摘があり、会談論点の背景共有が図られた可能性がある。現時点で確認されている範囲では、こうした地ならしが政策擦り合わせの下支えになっているとみられる。
「政治とカネ」の重さ、連立の行方
今回の会談で最大の時間が割かれたのは、「政治とカネ」だった。自民の派閥をめぐる政治資金問題は、会計責任者が収支報告書に記載すべき収入や支出を長年にわたり外していた構図が司法の場で争われ、初公判では虚偽記載が認められた。派閥パーティー収入の「還流」が慣行化していた実態も、証言や資料で輪郭が浮かぶ。
今年に入り、還流再開を要望した幹部の名が捜査段階の供述で挙がっていたとする報道も出た。誰が何を指示し、どこで歯止めが外れたのか。国会での聴取や公判の進行に合わせ、説明責任の射程は広がっている。斉藤氏は一連の経緯の全容解明と企業・団体献金の規制強化を強く求めており、透明性の確保なくして信頼回復は難しいとの立場を崩していない。
公明が厳しい姿勢を鮮明にするのは、選挙の現場で逆風を直に浴びた記憶が新しいからだ。7日に開かれた緊急の常任役員会では、離脱を求める意見も出たと伝えられる。連立を続けるなら、どの規律をどの程度まで法制化し、いつまでに示すのか。看板の書き換えではなく、資金の流れと意思決定の再設計が要る。与党の持続可能性は、制度の更新度で測られている。
会談は「一定の進展」と「残る溝」を同時に映した。今後の焦点は、説明と責任の具体化、そして外交・安全保障をめぐる言葉と現実の橋渡しである。連立の利点を生かしながら信頼を積み直せるのか。それとも距離は再び開くのか。次の一手は、与党の体温だけでなく、有権者の納得に耐えるかどうかで問われるはずだ。
