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自民党総裁選が2025年10月4日に投開票を迎える。次の党総裁は国会で首相に指名され、新内閣の舵取りを担う。高市早苗氏が勝てば初の女性首相が誕生し、小泉進次郎氏なら戦後でも稀にみる若さの首相が生まれる公算だ。物価と賃上げ、通商環境の揺れが重なる局面で、日本の進路を選ぶ一票が投じられる。
どう選ばれ、いつ決まるのか
選挙戦は告示が2025年9月22日、投開票が2025年10月4日と整理されている。党員投票は往復はがきによる郵送が中心で、締切は10月3日必着と周知されている。街頭討論や地方演説が終盤に詰まり、投函のタイミングが有権者の判断を左右する構図も見える。制度の細部が投票行動に影響を及ぼすという現実が浮かぶ。
投開票日はまず第1回の集計で過半数の得票を競う。過半数に届かない場合、上位2人による決選投票に直ちに移るのが通例である。新総裁が選ばれたのち、数日以内に国会で首相指名選挙が開かれ、首相が決まる流れだ。ここで与野党の数の力学が再確認され、内閣の布陣と初動が一気に可視化されるとみられる。
野党が一本化して対立候補を擁立する余地は残るが、現時点で確認されている範囲では、与党側から選出される見通しがなお強い。もっとも、法案審議は会期運営や他党との合意形成に左右される。支持率の追い風だけでは前に進まない局面もありうる。新総裁は政治の地合いを見極め、初手の一手で主導権を掴めるかが問われる。
浮上する3人の名前と読み筋
議員票の空気は刻々と動く。2025年9月30日 16:00時点の報道では、小泉進次郎氏が国会議員の支持で先行し、林芳正氏、高市早苗氏が追う展開が伝えられた。小泉氏は支持の広がりを重視して主張を絞り、林氏は安定運営を掲げる。高市氏は党員票での勢いを議員票にどう接続するかが焦点だと映る。
世論の輪郭も見えてきた。直近の民間調査では「次の総裁に最もふさわしい人」として、高市氏が約4割で首位、小泉氏が2割台半ば、林氏が2割強で続く結果が出た。小林鷹之氏、茂木敏充氏も一定の支持を得るが、決選投票前提の選挙で誰に流れるかが全体の均衡を左右する。党員・支持層の期待の矢印が交差している。
人物像を重ねると、絵柄はさらに立体化する。高市氏は昨年の競り合いを経て、今回は発信のトーンを調整しつつ、法案成立へ向けた野党協力にも含みを持たせる。小泉氏は44歳という若さを背に世代交代の物語を前面に置き、農政改革の実績で説得力を補う。林氏は危機管理と調整力を軸に、石破政権の主要政策を継ぐ安定カードを示している。
経済と市場、新政権の初手
物価と金利の環境は新政権の足腰を決める。日銀は2025年5月1日の会合後も無担保コール翌日物の誘導目標0.5％程度を維持し、3月時点でコアCPIは3％台前半と説明した。4月初めの米国による相互関税発表で通商の不確実性が高まるなか、金融政策は正常化の歩幅と副作用の抑制を慎重に秤に掛ける段階に入ったといえる。
財政面では、金利水準の変化が国債費や地方・企業の資金調達コストに反映される。物価高に直面する家計の負担感はなお根強く、現金給付や減税、補助の組み合わせに求められる精度は高い。選挙後の補正予算編成、賃上げの持続、エネルギー負担の抑制——どのボタンから押すかで、景気と市場心理の波形は大きく変わる。
市場が注視するのは、新総裁の財政姿勢と日銀との呼吸だ。大規模歳出を掲げれば短期的な需要は下支えされる一方、長期金利の上振れと財政規律への懸念が広がりやすい。逆に歳出抑制を前面に出せば、成長投資の絵姿が求心力を持つかが試される。誰に有利なのか、偶然か必然か——決するのは最後の数日間のメッセージである。
