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石原宏高環境相は2025年12月16日の記者会見で、メガソーラーの環境影響評価（環境アセスメント）を義務付ける対象を広げる考えを示した。国の制度は2020年4月から出力40MW以上の太陽電池発電所を対象としてきたが、規模の線引きが地域の懸念と噛み合っていないとの指摘がある。どこまで下げ、何を調べさせるのかが次の焦点になる。
現場が求めるのは「事前の見える化」
環境アセスメントは、工事前に自然環境や生活環境への影響を調べ、住民意見も踏まえて対策を組み立てる手続きだ。対象が拡大すれば、計画段階での説明や資料の公開が増えるという直接影響がある。山林の伐採や斜面造成が絡む案件では、影響の見落としが後から問題化しやすい。
一方、事業者側には調査期間や書類作成の負担が増える。コスト増が電力調達価格に転嫁される場合、家計への影響は間接影響となり、適用範囲の決め方次第で大きさが変わる。制度が狙うのは再エネを止めることではなく、場所選びと設計の質を上げることだ。
「40MW基準」の先にある線引き
環境省の整理では、現在は環境影響評価法と電気事業法に基づき、出力40,000kW以上の太陽電池発電所が第一種事業として手続きの対象だ。導入が広がる一方で、地域によっては条例でより小規模からチェックする例もある。風力発電は以前から国のアセス対象で、再エネでも影響度に応じた線引きが重視されてきた。
今後の争点は2つある。出力の基準を下げるのか、あるいは規模だけでなく森林の伐採面積や土砂災害リスクなど立地条件で対象を決めるのかだ。前者なら対象は増えるが、手続きの時間をどう抑えるかが課題になる。後者なら危険箇所に絞れる反面、判断の物差しを誰がどう示すかが問われる。拡大方針は、再エネ拡大と地域の納得を両立させる入口を作り直す試みと言えそうだ。
