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衆院法務委員会は2025年12月18日、氏制度を巡る閉会中審査を開いた。政府が「夫婦同姓は維持したまま、旧姓の通称使用を法制化する」方向で検討を進める中、立憲民主党の米山隆一氏は、複数の呼称が広がることは本人確認を難しくし、スパイ行為などの局面で問題になり得ると懸念を示した。
「便利さ」と引き換えに増える照合作業
米山氏が論点に据えたのは、名前の選択肢が増えたときに、官民の現場が負う「照合」のコストだ。経済安全保障上の機密情報に触れられる人を絞るセキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)は、2025年5月16日に施行された制度で、本人の特定と管理の精度が前提になる。そこへ「戸籍上の氏」と「社会で通る旧姓」が並び立つと、確認の手順やミスの余地が増えるという問題提起である。
政府は、婚姻で姓が変わった人の不便を減らす狙いで、旧姓の通称使用に法的な後ろ盾を与える法案を2026年の通常国会に提出する方向で検討している。一方、米山氏は衆院法務委で、1996年の法制審議会答申では通称に法的効力を持たせる整理が難しいとされた経緯を踏まえ、整理をやり直すべきだと迫った。名前の「使い分け」が広がるほど、制度は暮らしに寄り添う反面、統一的な運用設計が問われる。
別姓法案と旧姓法制化、残る選択肢は何か
国会では、選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党などの法案と、旧姓の通称使用を法制化する案が並走してきた。共同通信などが伝えた与野党協議では、先の通常国会でそれぞれ提出された3法案を継続審議とした申し合わせを踏まえ、閉会中も「家族の姓」を扱う場を設けることになった。今回の質疑は、制度のゴール像が割れたまま、議論だけが先に進む状況も映している。
旧姓の法制化は、与党と日本維新の会の合意にも位置付けられ、政府内では提出準備が進む。だが、便利さをどこまで制度で担保するのか、そしてそのとき官民の認証や審査の負担は誰が引き受けるのかという論点は、なお残る。SCの運用が走り出した今、氏制度の議論は「生き方の選択」だけでなく、情報管理と本人確認の設計まで含めて再点検できるかが、次の国会の焦点になりそうだ。
