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ドイツのメルツ首相とフランスのマクロン大統領が、12月15日の週に共同開発中の「将来戦闘航空システム（FCAS）」の行方を協議する。約1000億ユーロ規模の事業は、仏ダッソーと欧州エアバスの対立で停滞しており、年末までに継続か見直しかの判断が迫られている。
FCAS停滞が現場にもたらす影響
FCASは仏独西3か国が進める次世代戦闘機と無人機群、通信ネットワークを一体で整備する計画だ。老朽化するラファールやタイフーンなどの後継を2040年ごろに就役させ、欧州だけで航空優勢と情報優位を保つことを目指す、象徴的な防衛プロジェクトと位置づけられている。
一方で、8年以上前に構想が浮上して以降、計画は度重なる遅延に直面してきた。戦闘機本体を担うダッソーと、システム全体で大きな役割を担うエアバスの間で、ワークシェアや技術情報の権利をどう分けるかを巡る対立が続いているためだ。先行きが見えない状況は、各国空軍の更新計画や、関連工場の投資判断にも影を落としている。
仏独首脳に突きつけられた選択肢
こうした停滞を受け、12月11日には仏独西3か国の国防相が会合を開き、その結果を踏まえてメルツ氏とマクロン氏が12月15日の週に政治決断を協議すると伝えられる。ドイツ側は年内にFCASの継続可否をはっきりさせたい意向で、今回の一連の会合は計画の「正念場」とみられている。
背景には、単なる企業間の利害調整を超えた主導権と主権の問題がある。フランスは核抑止や空母運用に対応する戦闘機を確保するため、作業配分を見直し自国産業のリーダーシップを強める案を提示したと報じられる一方、ドイツは共同開発である以上、公平な分担と技術共有を重視している。合意に失敗すれば、参加国が別々の次世代戦闘機路線へ進む可能性もある。FCASをどう扱うかは、欧州が自前の防衛力と産業競争力を両立させられるかを測る試金石になりつつある。
参考・出典
- Merz and Macron to discuss fate of FCAS fighter jet, industry source says
- Europe’s Future Combat Air System: on the way to the first flight
- German, French, Spanish ministers to meet on FCAS on December 11, says source
- France asks FCAS partners to ‘rethink’ work share on fighter project
- Spanish, French and German ministers for Defence in Madrid to promote the future FCAS/NWGS combat air system
