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海上自衛隊のP-1哨戒機1機が、米領グアムでの国際共同訓練中、駐機していた米空軍アンダーセン基地で防風壁に接触し、機体の一部を損傷していたことが分かった。事故は11月に発生し、12月16日に海自が明らかにした。隊員にけがはなかった。
「飛ばない時間」に起きた接触、訓練の現場に残る課題
事故が起きたのは飛行中ではなく、任務の合間の駐機中だった。時事通信は、P-1が駐機後に後方へ動き、防風壁と接触したと伝えた。原因は「何らかの原因」とされ、機体の一部が損傷した一方で、人的被害が出なかった点は不幸中の幸いと言える。
ただ、海外拠点での共同訓練は、飛行そのものだけでなく「地上の安全管理」も含めて実力が問われる。機体が損傷すれば訓練参加の継続や帰投計画に影響し得る。対潜・警戒監視に使われる哨戒機は、1機抜けただけでも現場の段取りが崩れるため、損傷の小ささだけで片づけにくい。
マラバール参加の意義と、可動率をめぐる視線
今回の舞台となったグアム周辺では、海自が日米印豪共同訓練「マラバール2025」に参加していた。Jディフェンスニュースは、海上幕僚監部が2025年11月11日から18日に実施すると公表していたと報じ、FunecoもP-1や護衛艦の参加を伝えている。相互運用性の向上が目的で、海外展開はその象徴でもある。
一方で、装備を「持っている」だけでは抑止力になりにくい。防衛省の記者会見記録では、会計検査院がP-1の可動状況の改善を求めたとの指摘を踏まえ、防衛省として改善に努める考えが示されている。海外訓練で起きた地上の損傷は、可動率の議論に別の角度から光を当てる。高価な装備ほど、運用の細部で失われる時間が重く響く。
