ネタニヤフ首相「ガザ停戦は第2段階へ」　難局見据え米大統領と和平協議へ

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2025.12.08

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イスラエルのネタニヤフ首相が、ガザで続く停戦枠組みについて「間もなく第2段階に移行する」と語った。7日にエルサレムでドイツのメルツ首相と並んで開いた共同記者会見で、第2段階はこれまでと同じか、それ以上に難しい局面になるとの認識も示したうえで、今月予定するトランプ米大統領との会談で「和平の機会」を協議すると明らかにした。　停戦が「次の段階」に入るとは、現場と外交の双方にとって何を意味するのかが問われている。

停戦第2段階を待つ市民　「静けさ」と不安の同居

ガザでは、停戦の第1段階が始まって以降、激しい爆撃は止み、人々はがれきの間から暮らしの再建を模索している。イスラエルとハマスの間で人質と被拘束者の交換が進み、多くのイスラエル人が帰還した一方、ガザ側でも多数のパレスチナ人が刑務所から解放された。　それでも家やインフラの破壊は深刻で、長い戦闘で避難生活を続ける人々の不安は消えていない。

停戦発効後も、イスラエル軍はガザの一部に部隊を残し、治安上の理由から検問や上空からの監視を続けていると報じられる。　表向きは「戦闘休止」の状態でも、住民にとっては兵士や軍用車両の存在が日常から消えたわけではない。イスラエル側の住民もまた、国境近くの町に戻るべきか、次の衝突を恐れて様子を見るべきか、判断しかねている。

一方で、戦闘開始以降ガザで亡くなった人は7万人を超えるとの推計もあり、家族を失った人々にとって停戦は「終わり」ではなく、喪失と向き合う長い時間の入り口にすぎない。　こうした現場の重さを抱えたまま、「第2段階」という抽象的な言葉だけが先に走っているようにも見える。この記事では、その第2段階が市民と地域情勢にどんな重みをもたらすのかを探る。

ネタニヤフとトランプが描く青写真　武装解除と統治の再編

各紙の報道によれば、停戦合意は3段階構成とされ、第1段階では停戦と人質・被拘束者の大規模交換、イスラエル軍の人口密集地からの撤収などが柱となった。　第2段階は、ハマスの武装解除やイスラエル軍のさらなる撤収、国際的な治安部隊の展開、暫定的なパレスチナ統治機構の樹立といった政治色の濃いテーマが中心になるとされる。

こうした枠組みは、トランプ大統領が提示した20項目のガザ停戦計画の一部であり、国連安全保障理事会の決議としても承認された経緯がある。　ネタニヤフ氏は、今月予定されるワシントンでの首脳会談で、次の段階の詳細を詰める構えだ。一方で、ハマス側の幹部は、条件次第で武装解除のあり方を議論する用意があるとの姿勢も示しており、完全な拒否ではないが、主導権をどこが握るのかを巡って駆け引きが続く。

ドイツのメルツ首相は、エルサレムでの会見で第2段階への移行を促しつつも、国際法の順守と将来的なパレスチナ国家樹立の必要性を強調した。　ネタニヤフ氏はこれに対し、パレスチナ国家に否定的な立場を改めて示しており、同じ停戦計画をめぐっても、関係国の「最終像」は大きく異なる。第2段階は、単なる技術的な手順ではなく、誰がどのようなガザの未来を描くのかをめぐる政治交渉の核心でもある。

国際部隊とICC　和平の「機会」を揺らす火種

第2段階で焦点となる国際治安部隊の役割をめぐっても、各国の思惑は一枚岩ではない。トルコのフィダン外相は、まずイスラエル軍とハマスを引き離すことが優先であり、武装解除を最初の任務にすべきではないと主張した。　エジプトは、停戦ラインの監視を通じた「和平監視」に重心を置くべきだと訴え、ノルウェーは段階の順序があいまいなままでは、双方が動かず停戦が崩れるリスクが高いと警告する。

ネタニヤフ首相自身は、ガザでの戦争をめぐり国際刑事裁判所（ICC）から逮捕状を出されており、欧州訪問など外交日程にも影を落としている。　それでもイスラエルは、自国の安全保障のためにはガザの非武装化が不可欠だと主張し、完全な撤収の前提条件として位置づけている。一方、アラブ諸国や国際機関には、人道支援の継続と、ガザ住民の政治的代表をどう確保するかを優先すべきだと見る向きも強い。

停戦合意が生んだ「静けさ」は、破壊の規模と犠牲者の多さを思えば、決して揺るぎないものではない。第2段階が順調に進めば、武装解除と統治の枠組みづくりを通じて長期的な安定への道がひらける可能性がある一方で、条件や順序をめぐる対立が深まれば、再び戦火が広がる危険も残る。誰がどの負担を引き受け、どこまで妥協できるのか――「和平の機会」が実像を伴うかどうかは、これからの数カ月の選択にかかっている。