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半導体の荷が止まり、車載向けの現場に遅れが広がっている。経済産業省の赤沢亮正大臣は2025年11月4日の定例会見で、オランダ本社の中国資本メーカー、ネクスペリアの出荷停止をめぐり、10月30日に中国の王文濤商務部長へ強い懸念を伝え、適切な対応を要請したと明らかにした。中国側が11月1日に条件を満たす輸出を認め得る方針を示したことも踏まえ、日本の産業への供給が滞りなく再開するか注視する姿勢だ。
供給網に走った波紋
ネクスペリアは離散半導体や電源管理系の標準品で強く、車載や産業機器の基礎部品を幅広く担う。出荷停止は完成車や部品メーカーの工程管理に直接響き、在庫の薄い品番では組み付け順や検査枠の再編が迫られた。生産ラインを止めないための代替調達は動くが、設計互換の確認や品質保証のやり直しは短距離走ではない。
欧州の一部や日本の業界団体からも懸念が相次いだ。背景に企業ガバナンスや輸出管理をめぐる各国政策のねじれがあり、企業は経済安全保障と需給の板挟みに置かれている。部材の一点詰まりが広い産業に波紋を広げる構図は、半導体不足の記憶が新しい製造業にとって既視感でもある。
日本政府の働きかけと狙い
赤沢経産相は会見で、相手国の担当閣僚に直接懸念を伝え、供給の早期正常化を求めた経緯を説明した。狙いは国内生産の継続と、国際的な供給網の安定を守ることにある。過度な緊張を避けつつ、企業活動の予見可能性を高めるための実務的な糸口を探る姿勢がにじむ。
政府内では、業界への情報共有や代替調達のボトルネック把握と並行して、相手国当局との意思疎通を重ねる動きが続く。標準品の安定供給は中小の一次・二次サプライヤーの資金繰りにも直結する。遠回りに見えても、現場の手戻りを減らす調整が後々の停滞を防ぐ。
中国側の発表と再開への道筋
その直後、中国商務部は「企業の実情を踏まえ、条件に合致する輸出には免除等を検討する」との立場を示した。全面解除を明言したわけではないが、運用の余地を示すシグナルである。企業側から見れば、個別申請の要件や審査の速度が実際の荷動きを左右する。
肝心なのは、倉庫から出た部材が予定どおり工場に届き、ラインの takt に間に合うかどうかだ。認証や信頼性の再確認が不要な範囲から段階的に戻る可能性もある。サプライヤーは細いルートをつなぎ、メーカーは工程の遊びを確保する。梱包の封が確かに切られるまで、現場は静かに待っている。
