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各国の通信・IT企業の幹部が集った会議で、NTTが新たな連携の形を持ち込んだ。2025年11月3日のITU-T主催「CxO Roundtable」で、IOWNを軸に電力と通信を結ぶ標準づくりを提案し、賛意を得た。都市部のデータセンターが抱える用地と電力の逼迫に、遠隔拡張で応える道筋が共有された。
合意の中身
NTTは2025年11月6日、11月3日に開かれたITU-T(国際電気通信連合の標準化部門)主催のCxO Roundtableで、自社提案に対し参加した各国のCxOとITU-T幹部の賛意を得て、国際標準の策定に向けた検討開始の必要性で合意したと明らかにした。
提案の核は、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、超低遅延・超低消費電力・超広帯域をめざす通信・計算基盤)を使い、発電エリアに近い遠隔地へデータセンターを拡張する構想だ。電力の逼迫を避けつつ、通信側で遅延を抑え、負荷を柔軟に移す設計を前提にする。
併せて、ワット・ビット連携(電力と通信を連動させ設備と運用を最適化する考え)を標準化課題として整理し、電力業界の標準化組織との連携強化も掲げた。会合ではこの方向性に支持が集まり、声明文書にも検討開始の文言が盛り込まれた。
背景にある課題
生成AIの普及で学習・推論の計算量が膨らみ、都市部のデータセンターは用地・電力の両面で限界が近い。新設には変電や系統との接続も伴い、短期に解くのは難しい。近年は再生可能電源の豊富な地域へ処理を逃がす構想が各地で動き出している。
しかし遠隔化には、遅延や帯域といった物理の壁が立つ。IOWNが掲げる低遅延・低消費電力・広帯域の組み合わせは、その壁を下げる狙いだ。計算ジョブやデータの一部を動的に移す前提で、ネットワークと電力の状態を同時に見て制御する必要がある。
国内でも官民の場で分散配置や需要応答の議論が進むが、実装段階では業界横断の共通言語が要る。回線の品質指標と電力の余力を同じ座標で扱い、運用の意思決定に繋げる手順を国際的に整えることが、広域分散を現実の選択肢にする鍵になる。
これからの進め方
今回の合意は、直ちに仕様が確定したことを意味しない。まずは課題の棚卸しと、通信・電力・データセンターの接点にあるインタフェースの洗い出しから始まる。需要予測、ワークロード配置、系統の制約を横断して扱うデータ項目や用語の定義が要所になる。
電力側の国際標準を担うIECとの整合は避けて通れない。機器の安全や系統接続の規格に加え、需要側リソースの制御や計測の枠組みと、通信側の運用指標をどう結びつけるか。二つの標準群の接合面を明確化し、相互参照できる設計が求められる。
地理の最適化だけでなく、時間の設計も問われる。発電の変動とAI処理の山谷を重ね、どの瞬間にどこへ仕事を送るか。運用のアルゴリズムは現場実証で磨かれ、標準はその共通土台になる。NTTは国内外の関係者と連携し、開発と普及を並走させる構えだ。
会場のやり取りは派手ではないが、データと電力の道筋を少しずつ編み直す作業が始まっている。