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10日にノルウェーの首都オスロで開かれたノーベル平和賞の式典で、ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・フリードネス委員長が中国とロシアを名指しで批判した。マドゥロ政権に対する武器供与が強権支配を「より強固で残忍なものにしている」と指摘し、民主化運動の指導者マリア・コリナ・マチャド氏への授賞を通じて独裁を支える大国の責任を問うた。
武器で支えられる独裁と、言葉で抗う市民
長引く経済危機と治安悪化に苦しむベネズエラでは、デモ参加者や野党関係者の拘束が相次いできた。こうした状況に抗して活動してきた野党指導者マチャド氏が、今年のノーベル平和賞に選ばれた。渡航禁止などの制約で本人は授賞式に出席できず、長女が演説を代読してメダルを受け取り、多くの市民が画面越しにその姿を見守った。
フリードネス氏は演説で、中国とロシアに加え、キューバやイラン、レバノンの武装組織ヒズボラを挙げ、これらの勢力がマドゥロ政権へ武器を供与していると批判した。その結果として治安部隊は一段と強化され、市民は抗議の場だけでなく日常生活でも暴力の恐怖にさらされていると訴えた。
授賞理由としてノーベル委員会は、独裁から民主主義への「公正で平和的な移行」を目指してきた点を強調した。野党候補が多数派を得たとされる2024年大統領選後も、マチャド氏は身を隠しながら情報発信を続けている。フリードネス氏の強い言葉は、弾圧に耐える市民の存在を国際社会の前に浮かび上がらせる狙いがあるといえる。
支援国の責任と、変化のコストを誰が負うのか
マドゥロ政権が寄りかかる中国とロシアは、エネルギーや軍需分野でベネズエラとの協力を深めてきた。キューバやイランも治安機関への助言や要員派遣などを通じて関係を築いているとされる。政権側にとっては貴重な資金と装備の供給源だが、その陰で市民の権利より体制維持が優先される構図が固定化している。
一方、野党側の象徴となったマチャド氏には、米国や欧州の一部から強い支持が集まる。受賞発表後、ベネズエラ政府はノルウェーやオーストラリアの大使館閉鎖を決め、ノーベル平和賞への反発と受け止められた。政権は「グローバルサウス重視の外交再編」と説明するが、民主化運動を後押しする国々との距離を意図的に広げる動きでもある。
とはいえ、ノーベル委員会の批判がただちに武器供与を止めるわけではない。中国やロシアは人権問題での外部からの干渉に強く反発してきた。それでも今回の演説が、欧州や中南米諸国による制裁や外交関与の在り方を見直すきっかけとなれば、ベネズエラの市民が背負ってきた変化のコストを、支援国側にも分かち合うべきだとの議論を後押しするだろう。
