京都大学とKDDI総合研究所 フォトニック結晶レーザーで6万km通信実証

京大・KDDI研が挑む宇宙通信革命 省電力レーザーが示す新たな可能性

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京都大学とKDDI総合研究所などの研究チームが、宇宙空間での長距離通信を想定した新しいフォトニック結晶レーザーを開発した。少ない電力で高品質な信号を送り、光増幅器なしで約6万kmの通信が可能なことを実験で確認している。限られた電力と搭載スペースの中で、どこまで宇宙のネットワークを広げられるのかという課題に、一つの答えを示す成果だ。

小型衛星の電力制約が突きつける壁

近年、質量100kg未満の小型衛星が相次いで打ち上げられているが、搭載できる電力と機器の体積はごく限られる。一方で、衛星間や地上との間では、動画や観測データを大量にやり取りするための大容量リンクが求められている。特に6G以降は、移動通信の圏域が宇宙空間にまで広がると見込まれ、従来型の大型で電力を食う送信機では対応が難しくなりつつある。こうした現場の事情が、高感度かつ省電力な新しい光源を強く求めてきた。

そこで研究チームは、宇宙光通信など長距離の自由空間光通信を想定し、半導体レーザー単体で高出力と高いビーム品質を両立できるフォトニック結晶レーザーに注目した。新たなデバイスでは、光ファイバ増幅器を使わずに約6万kmまで信号を届かせることに成功しており、小型・軽量・高効率な衛星搭載用光送信機の実現に向けた性能のめどがつきつつある。開発されたレーザーは1W級の高出力を持ちながら、装置全体をコンパクトにまとめられる点も衛星側には大きい。

複雑な光学系を単一チップに置き換える発想

従来の宇宙用光送信機は、半導体レーザーに加え、光ファイバ増幅器や光変調器、大口径レンズなど多数の光学素子を組み合わせて構成されてきた。高感度な通信は実現できる一方で、装置は大きく重くなり、姿勢制御や放熱の設計も複雑になる。研究チームはこれらをできる限り単一の半導体素子に集約し、衛星側の設計自由度を高めようとしている。地上局にとっても装置の簡素化は、運用コストや保守の負担を下げる利点がある。

今回のフォトニック結晶レーザーは、内部にわずかに異なる共振周波数を持つ2つのフォトニック結晶領域を持ち、それぞれに流す電流を高速に変えることで発振周波数を効率よく揺らす仕組みだ。2領域への電流の合計値を一定に保つ制御を行うことで、ビームの強度変化を抑えながら情報を周波数として載せられるため、雑音を抑えつつ高い感度で信号を受け取れる構成になっている。多数の光学部品で担ってきた役割を、一枚のチップが肩代わりし始めていると言える。

月まで届く通信へ、残されたハードル

新しいレーザーで到達できる距離は現時点で約6万kmとされるが、研究チームは地球と月の間、およそ38万kmを結ぶ大容量リンクへの応用も見据える。低軌道衛星どうしや低軌道―静止衛星間の通信に使えるレベルまで性能を磨けば、深宇宙探査機との通信にも道が開ける。宇宙版インターネットの幹線として、将来の6Gネットワークを支える装置になり得るとの期待も高まる。

一方で、宇宙放射線への耐性や長期運用での信頼性評価、量産プロセスの確立など、実際の衛星搭載までに解くべき課題も多い。今回のプロジェクトには、大手通信キャリア系の研究所だけでなく地方の公立大学も参加しており、宇宙インフラを支える光デバイスをどこまで身近な技術にできるかが問われている。小型・省電力な送信機が当たり前になれば、宇宙ネットワーク整備の負担は一部の大組織だけでなく、多様なプレーヤーへ静かに分散していくだろう。

参考・出典

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