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野党党首が次々と演壇に向かい、与野党の視線が一斉に首相席へと集まった。2025年11月26日午後、首相就任後初めての党首討論に臨んだ高市早苗首相は、野田佳彦氏らの追及を前に、時に言葉を選びながら応じ続けた。
台湾有事から補正予算、非核三原則、スパイ防止法構想まで、首相の一言が安全保障と暮らし、そして日本の立ち位置をどう変えうるのかを巡り、国会は久しぶりに「言葉の重さ」が試される場となった。
台湾有事と非核三原則 安全保障でぶつかる視点
討論の口火を切った立憲民主党の野田代表は、10月の日中首脳会談で「戦略的互恵関係」を確認した直後に、高市首相が台湾有事を巡り「存立危機事態」になりうると述べたことを問題視した。存立危機事態は、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃で日本の存立が脅かされると判断されれば、自衛隊が限定的な集団的自衛権を行使できると定めた概念である。
野田氏は、こうした重大な判断に関わる発言を最高指揮官が軽々に口にすべきではないとし、答弁の責任をただした。これに対し首相は、具体的事例を問われたため誠実に答えたと説明しつつ、存立危機事態の認定は個別具体の状況を踏まえ総合的に判断すると強調した。
安全保障では非核三原則も論点となった。公明党の斉藤代表は、見直し論が「抑止論に傾きすぎている」と批判し、被爆者の声を踏まえた再考を求めた。非核三原則は1967年に佐藤栄作首相が初めて示し、71年には衆議院が国是とする決議を採択した、日本の核政策の柱とされる。
首相は討論で、政策上の方針として三原則を堅持しており、明示的な見直し指示は出していないと述べたが、与党内外では最近、政府見解の揺らぎをただす質問主意書も提出されており、説明への視線は厳しい。
経済と政治 暮らしの不安と信頼回復への条件
論戦は経済政策へと移った。野田氏は21.3兆円規模の経済対策を「大きすぎる」と批判し、足元の金利上昇を放漫財政への警鐘と位置づけたうえで、補正予算に年度内の緊急性が乏しい事業が多いと指摘した。さらに、首相就任後の円安を「高市円安」と呼び、輸入物価の上昇が物価高を長引かせていると訴えた。首相は為替水準への直接的な評価を避けつつ、経済の基礎的条件や投機的な動きを見極め、必要なら政府として対応すると述べ、「成長する経済」を通じて財政健全化と物価高対策を両立させると力説した。
生活への不安に直結するのが「年収の壁」だとして、国民民主党の玉木代表は、所得税の非課税枠が実質的な就労抑制になっていると訴え、年収178万円への引き上げを提案した。実現すれば政治の安定に協力するとまで踏み込む一方で、首相は基礎控除の物価連動に加え、給与所得控除の拡充で同じ目的を達成する考えを示し、連携に含みを残した。
政治資金を巡る追及では、石破前首相が党支部への調査を指示した経緯や、企業・団体献金の規制強化法案への対応が問われたが、首相は党内調査の結果を対外公表する考えは示さず、話題を定数削減にそらす場面もあった。
参政党の神谷代表が提起した外国代理人登録法やロビー活動の透明化は、政府が検討を進めるとしたものの、具体像はなおこれからである。非核三原則や存立危機事態と同様、制度の細部が国のかたちと市民生活をどう変えるか、その説明と合意形成がこれからの政治に重くのしかかっている。
