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ロシアのプーチン大統領は2025年12月17日、ウクライナで掲げる目標は外交でも軍事でも達成すると述べ、国境沿いに設けるとする「安全保障上の緩衝地帯」を広げる考えを示した。欧州の指導者が恐怖をあおっているとも非難し、交渉の余地を残しつつも圧力を強める姿勢をにじませた。
「緩衝地帯」を広げる発言がもたらす現実
発言の舞台は国防省の会合だった。プーチン氏は、紛争の「根本原因」に向き合う実質協議が進むなら外交での実現を望む一方、相手側が応じないなら軍事で「歴史的領土の解放」を進めると主張した。緩衝地帯についても、創設だけでなく拡大に一貫して取り組むという立て付けを置いた。
緩衝地帯という言葉は、ひとことで言うと「境界線のこちら側を安全にするため、相手の攻撃手段が届きにくい距離を確保する」発想だ。ただ実際には、地図上の帯を太くするほど前線が動きやすくなり、住民の避難や行政サービスの空白が長期化しやすい。Reutersは、ロシアがウクライナ領の約19%を掌握しているとの説明も併記しており、追加の「帯」は交渉のカードにもなり得る。
外交カードを残しつつ、欧州を名指しで揺さぶる
Reutersは、米国が主導する和平提案をめぐり、キーウや欧州の政治指導者が実質協議に応じない場合、ロシアはさらに領土を取るとプーチン氏が警告したと伝えた。欧州側が「対ロ戦争」の恐怖を植え付けているとの批判は、国内向けには戦争継続の正当化、国外向けには支援継続への心理的負担を狙った言い回しにも見える。会合では国防相が2026年の攻勢加速に言及し、戦費がGDP比5.1%に達するとの説明も示されたという。
一方で、欧州連合が凍結したロシア資産をウクライナ支援に回す案を協議しているとThe Guardianは伝えており、欧州側も圧力手段を模索している。ウクライナ側も独自に「緩衝地帯」という語を使い、ウクライナ大統領府はロシア領内で軍事力を削ぐ意図を説明している。双方が同じ言葉で違う線引きを語る現状では、停戦が「線を固める」段階に入るのか、それとも帯が広がるだけなのかが、次の焦点になりそうだ。
参考・出典
- Putin calls European leaders ‘little pigs’ and says Russia will achieve Ukraine goals by diplomacy or force – as it happened
- プーチン氏「外交または軍事で目標達成」、ウクライナ緩衝地帯拡大へ
- Путин заверил, что задача создания и расширения буферной зоны безопасности будет решаться
- We Maintain a Buffer Zone on Russian Territory – Address by the President | President of Ukraine
