マイニング構想が浮上　米ロがザポリージャ原発共同管理案

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2025.12.27

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ロシアのプーチン大統領が2025年12月24日、ロシア企業幹部との非公開会合で、2022年からロシアが占拠するウクライナ南部のザポリージャ原発を米国と共同管理する案を協議していると語った。ロシア紙コメルサントが事情に詳しい関係者の情報として報じ、ロイター通信も伝えた。米側は原発の電力を暗号資産のマイニングに使う案に関心を示したという。

止まった原発でも電源は要る、交渉の前に残る現場の条件

ザポリージャ原発は欧州最大級とされる一方、戦闘の影響で外部電源が途切れやすい状態が続く。2025年9月下旬には外部電源を完全に失う事態が起き、10月初めの時点で非常用電源での運転が長期化していると、国連ジュネーブ事務局がIAEAの状況説明として紹介した。12月上旬にも外部電源が一時失われたとされ、現場では「送電が戻るか」を常に気にしながら運用が続く。

ここで見落とされやすいのは、発電が止まっていても原子炉と使用済み燃料の冷却には電力が要る点だ。つまり、平時なら当たり前に使える送電線が「安全の前提」になる。IAEAのグロッシ事務局長は2025年6月、冷却に必要な水の不足や電源の不安定さなどから、現状では再稼働は不可能だとの見方を示した。交渉のテーブルに載るのは管理権でも、足元で問われるのは設備を支えるインフラだ。

共同管理とマイニング、電力の使い道が政治の争点に

プーチン氏が語ったとされる「共同管理」は、原発を誰が動かし、誰が得をし、誰が責任を負うのかをめぐる話でもある。暗号資産マイニング（計算処理で取引を検証し報酬を得る仕組み）は大量の電力を消費するため、原発の電力を当てる発想は理解しやすい。だが、そもそも原発は稼働停止が続き、送電線も不安定だ。米側が電力のウクライナ向け供給も話題にしたとされるが、電気は政治宣言だけでは流れない。

論点は大きく二つに整理できる。第一に、安全を担保する運用体制をどう設計するかだ。外部電源が途切れるたび非常用電源に切り替わるような状況で、商業利用の議論を先に進めれば、現場の負荷が増えるとの懸念が出やすい。第二に、管理の枠組みが当事者の合意として成立するかである。原発が和平交渉のカードになったとき、短期の「使い道」と長期の「安全」のどちらを優先するのか。残る問いは、責任の所在を曖昧にしない形で合意が組めるのか、という一点に収れんする。

止まった原発でも電源は要る、交渉の前に残る現場の条件

共同管理とマイニング、電力の使い道が政治の争点に

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