中ロがモスクワで戦略安全保障協議　軍事協力やアジア太平洋情勢を協議

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2025.12.02

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ロシアの安全保障政策を担うセルゲイ・ショイグ安全保障会議書記と、中国の王毅外相が１２月２日、モスクワで戦略安全保障協議に臨む。ロシア安全保障会議や中国外交部によれば、アジア太平洋の情勢や軍事・軍事技術分野での協力が主要議題だという。ウクライナ侵攻や台湾情勢で緊張が高まるなか、中ロの安全保障対話は２０回目の節目を迎え、地域の安全保障秩序にどのような揺さぶりをかけるのかが注目される。

緊張高まるアジア太平洋で進む中ロ接近

タス通信によると、今回の会談はロシア側が主催する中ロ戦略安全保障協議の一環で、ショイグ氏がロシア代表団を率い、王毅氏が中国側の代表を務める。協議ではアジア太平洋や国際・地域の安全保障情勢に加え、軍事および軍事技術協力の強化が話し合われる見通しだ。

両国は近年、日本列島周辺や西太平洋で共同爆撃機パトロールや海軍演習を繰り返しており、周辺国では自国防空体制の負担増や偶発的衝突への不安が高まっている。中ロの防衛協力が制度化されるほど、日米豪など既存の同盟網も抑止力強化に動き、地域の軍拡と警戒監視のスパイラルが加速しかねない。

防衛予算の拡大や基地機能の強化は、最終的には納税者の負担や周辺住民の生活環境に跳ね返る。軍事的な緊張が続けば、経済協力や人の往来の余地も狭まり、企業の投資判断や留学・観光といった身近な選択にも影を落とす。中ロの一挙手一投足は、外交の世界だけでなく、市民の暮らしのレベルでも波紋を広げつつある。

今回のモスクワ協議は、そうした連鎖の一場面にすぎないが、２国間の安保対話が積み重なるほど、周辺国はどこまで備えを強め、どこで対話の糸口を保つのかという難しい問いに直面する。

積み重ねられる「戦略安全保障協議」という仕組み

中国外交部によれば、今回の会談は中ロ戦略安全保障協議の第２０回会合にあたり、王毅氏はショイグ氏の招きで１２月１〜２日にかけロシアを訪問している。２０２４年１１月には第１９回会合が中国で開かれ、ショイグ氏が北京などを訪れた。こうした定例対話は、軍事・情報・外交を横断して２国の安全保障政策をすり合わせる場として機能してきた。

背景には、２００１年に締結された中ロ善隣友好協力条約に基づく「包括的戦略協力パートナーシップ」がある。同条約は互いの主権と領土保全を尊重し、対外政策で協調することをうたっており、その後の延長を経て現在も両国関係の法的な土台となっている。軍事同盟とは異なるが、長期的な協力方向を示す羅針盤の役割を果たしてきた。

一方で、米国を中心とする日米同盟やＮＡＴＯは、防衛義務を明文化した集団安全保障体制だ。中ロは「同盟ではない」と強調するものの、定期協議や合同演習を通じて事実上の連携度を高めており、周辺国からは二つの安全保障ネットワークが並行して広がる構図として映る。相互不信が強まれば、危機時のエスカレーション管理は一段と難しくなる。

さらに両国はＢＲＩＣＳや上海協力機構といった枠組みを通じ、グローバルサウスの代表を自任しながら、安全保障やエネルギー供給での協調を訴えてきた。多層的なネットワークの中で、今回の協議も単発の会談ではなく、より大きな戦略の一コマとして位置づけられている。