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ロシアは2025年12月27日、ウクライナ東部ドネツク州のミルノフラード（ロシア側呼称ディミトロフ）と、南部ザポリージャ州のフリアイポレを自軍が掌握したと主張した。クレムリンは、プーチン大統領が軍司令部から「両町を解放した」との報告を受けたとしている。一方、ウクライナ側は、戦況は厳しいとしつつも支配を否定し、戦果の真偽をめぐる応酬になっている。
前線の線引きより先に、発表が動く
ロシア側の説明では、軍トップがプーチン氏に進展を報告し、要衝の確保が次の攻勢につながるという筋書きを描く。ロシア国防省も、フリアイポレを取ったことで「さらなる前進の条件が整った」と位置づけた。占領の発表は、戦場の出来事というより「次に何が起きるか」を先に語る形になっている。
対するウクライナ側は、参謀本部が27日、両方面での攻撃を撃退したと説明し、国家安全保障・国防会議の偽情報対策センターも「支配は成立していない」と反論した。独立検証が難しい中で、争点は「どこを取ったか」だけではない。交渉や支援の前提となる地図を、どちらの言葉で塗り替えるかが同時に問われている。
同じ町でも呼び名が違う、住民の現実は一つ
ミルノフラードとフリアイポレはいずれも前線に近く、占領の有無は住民の避難、物資の入り方、医療や電力の復旧手順を左右する。報道では、ロシアの大規模な無人機・ミサイル攻撃で首都キーウでも被害が出ており、後方の暮らしも戦線の変化と切り離せない状況が続く。町名の言い換えは象徴的だが、生活上の不安は言い換えで軽くならない。
いま残る問いは、戦果の認定をめぐる「時間差」だ。ロシアは「掌握」を既成事実として語り、ウクライナは「戦闘継続」を前提に防衛の正当性を示す。どちらの説明が先に国際社会の手続きや支援配分に反映されるかで、現場の負担は増減する。戦況の確定にはなお時間がかかるとの見方もあり、当面は双方の主張と独立情報の突き合わせが焦点になりそうだ。
参考・出典
- Putin says Ukraine in no hurry to reach peace, agencies report
- Russia hits Kyiv with missiles and drones the day before Zelenskyy and Trump meet | AP News
- В Минобороны РФ заявили, что взятие Гуляйполя создало условия для дальнейшего продвижения
- CCD debunks Russian claims of alleged capture of Huliaipole and Myrnohrad
- Ukraine denies Russia's claims of capturing key front-line cities ahead of Zelensky-Trump meeting
