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ロシアが中央アジアの旧ソ連構成国やアフガニスタン向けに輸出したLPG（液化石油ガス）が、2025年1〜11月に計101万6000トンとなり、前年同期からほぼ倍増した。複数の業界関係者が12月26日、Reutersに明らかにした。欧州市場の制約が強まる中で、周辺国の燃料調達が「ロシア比重」を高める形になっている。
車の燃料や暖房に直結、受け入れ国は価格と安定供給が焦点
Reutersが業界関係者やトレーダーの話として伝えたところでは、ロシアからアフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン向けのLPGは、ロシアの総輸出に占める比率が約36%に上がったという。2024年は19%だったとされ、短期間で輸出先の重心が動いた形だ。とりわけアフガニスタンが同地域で最大の買い手になっているという。
LPGは自動車燃料や家庭の暖房、化学品の原料にも使われるため、輸入量の変化は家計や物流に跳ね返りやすい。例えば都市部でLPG車の比率が高い場合、仕入れが細れば充填所の行列や運賃上昇につながりかねない。供給が増えれば当面の不足は和らぐ一方、依存度が上がるほど、国境手続きや決済条件の変化がリスクとして残る。
欧州の制裁が促す「東向き」、政治と商流が絡む余地
増加の背景としてReutersは、EUがロシア産のプロパン、ブタンなどの輸入を制限し、2024年12月に発効したことを挙げる。主要な買い手だった欧州で売りにくくなれば、近隣市場に振り向ける動きが加速する。輸出先を切り替えるロシア側にとっては販売先の確保であり、受け入れ国側にとっては燃料の確保であるが、交渉力のバランスがどちらに傾くかは、価格だけでなく輸送や支払い条件も含めて決まる。
論点は「数量が増えた」こと自体より、増え方が一方向に寄る点にある。EUはロシア産エネルギーへの制裁を段階的に広げており、2025年10月の制裁パッケージでは、既存のLPG制限を迂回する取引への対策も盛り込んだ。こうした環境では、中央アジアやアフガニスタンが安定供給を優先してロシア依存を深めるのか、それとも複数調達に切り替えるのかが次の分岐になる。Reutersはまた、ロシアが2025年7月にアフガニスタンの新大使の信任状を受け入れたと伝えており、燃料の商流が外交の温度感とも無関係ではいられない。
参考・出典
- Russia almost doubles LPG exports to Central Asia, Afghanistan this year – Markets – Business Recorder
- Sources say that Russia has almost doubled its LPG exports this year to Central Asia and Afghanistan.
- Russia doubles liquefied gas exports to Central Asia and Afghanistan due to European embargo | УНН
- EU adopts new sanctions against Russia – European Commission
- Council and Parliament strike a deal on rules to phase out Russian gas imports for an energy secure and independent Europe – Consilium
