イエメンの物流拠点ムカラ港へ空爆、サウジ主導連合が限定作戦

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2025.12.30

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内戦下のイエメン東部で、サウジアラビア主導の連合がハドラマウト州ムカラ港への空爆に踏み切った。サウジアラビア国営通信（SPA）によると、作戦は「限定的」で、「外国の軍事支援」を標的にしたという。これに先立ち連合は、港周辺にいる市民に退避を呼びかけていた。港は物資の出入り口でもあり、軍事行動が地域の日常と物流にどう跳ね返るかが焦点になる。

避難要請ののちムカラ港を攻撃、港湾機能も緊張

Reutersなどによると、空爆は2025年12月30日に実施され、連合側は港での「外国の軍事支援」を狙ったと説明した。事前に「安全が確保されるまで」退避するよう市民へ周知したとしており、軍事作戦の前に現場の人をどかす手順を強調した形だ。港の周辺では、倉庫や岸壁に近い場所で働く人ほど、短時間で移動判断を迫られる。

同じくReutersは、連合側が「死傷者や巻き添え被害はなかった」と述べたとも伝えた。一方で、攻撃対象の具体像は連合の説明に依存する。Reutersは、UAE（アラブ首長国連邦）側の外務当局がコメント要請に直ちに応じていないとも報じており、誰が何を持ち込んだのかという点は、当面は主張の突き合わせになる。

「武器搬入」主張の背景、同盟内の溝が表面化

連合は、UAEのフジャイラ港から来た船舶が無許可で入港し、武器や戦闘車両を搬入したという趣旨の説明をしている。AP通信も、サウジ側が「UAEから来た武器の積み荷」を理由にムカラを攻撃したと報じ、標的が南部分離派「南部暫定評議会（STC）」向けだと受け止められている点を伝えた。イエメン内戦は2014年以降長期化し、対フーシ派の枠組みの内側で勢力図が動きやすい。

論点は二つある。第一に、港への搬入が事実なら、武器流入をどう止めるかという実務の問題だ。第二に、誰が「正統な当事者」かという政治の問題で、2015年の国連安全保障理事会決議2216号（イエメン情勢）などを根拠に各陣営が正当性を主張してきた経緯がある。軍事行動が続けば、港の稼働や周辺の治安が不安定化し、結局は住民の移動と生活コストに跳ね返るとの懸念が残る。

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