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参院本会議の質疑が続く中、高市早苗首相が財政運営の軸を言葉にした。債務残高の伸びを成長率の範囲に抑え、市場の信認を保ちながら戦略的な財政出動を進めるという。国民民主党の舟山康江氏への答弁で、従来のPB黒字化一本の物差しから、債務対GDP比の着実な低下へ視点を移す姿勢を改めて示した。
債務の伸びを成長の範囲に、首相が示したかじ取り
2025年11月6日、参院の代表質問で、首相は財政の持続可能性と景気下支えの両立をどう図るかを説明した。鍵は「債務残高の伸び率を成長率の範囲に収める」ことだという。名目成長率が国債金利を上回る局面を維持できれば、債務対GDP比は安定し、信認は揺らぎにくいという見立てである。
首相が掲げる「責任ある積極財政」は、危機管理投資や成長投資をためらわずに行いながら、債務対GDP比の低下を通じて中長期の健全性を確保する考え方だ。単に歳出拡大を意味するのではなく、需要喚起の効果と金利動向をにらみ、発行と返済の歩調をそろえる姿勢を強調した。
質疑に立った舟山康江氏は、市場の受け止めと財源の担保をただした。首相は、債務の増加ペースを成長の範囲に抑えることで「マーケットの信認を確保する」と応じ、戦略的な財政出動を継続する意向を示した。答弁は、予算編成に向けた政府方針の輪郭をにじませた。
PBから債務対GDP比へ、市場と政策の重心
歴代政権が掲げてきたPB黒字化は、短期の収支均衡を基準に置く目標だった。今回の説明は、経済成長と金利の関係を踏まえ、債務対GDP比の着実な低下を重視する発想に重心を移すものだ。成長が金利を上回る局面では、無理な歳出圧縮に頼らずとも比率の改善が進む。
もっとも、前提は景気や金利に敏感だ。成長が鈍り、金利が上がれば条件は反転する。だからこそ、時限的な対策と中長期の投資を仕分け、税外収入や資産売却の活用、制度改革と併せた波及効果の設計が要る。政府は補正と骨太方針の双方で、道筋を具体化する段階に入る。
政府内では、有識者会議の人選にも積極財政寄りの視点が色濃い。学識経験者の登用が続き、政策評価の軸に債務対GDP比を据える議論が広がる。市場は成長期待と金利上昇のリスクを天秤にかけながら、来年度予算や税制改正大綱に記される具体策を見極めようとしている。
