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韓国で自宅や職場に設置されたビデオカメラおよそ12万台が不正アクセスを受け、その映像が性的搾取目的のビデオに加工されて海外サイトで流通していたとして、韓国警察が4人を逮捕した。警察やBBCなどの報道によれば、映像は家庭のリビングだけでなく、カラオケルームやピラティス教室、婦人科クリニックといった「人目を気にしないはずの空間」からも盗み取られていた。見守りや防犯のためのカメラが、いつのまにか自分や家族を「商品」として切り売りする装置になってしまう――そんな不安が、あらためて突きつけられている。
自宅カメラが一転、「覗かれる側」になるとき
今回狙われたのは、インターネット回線につながる「IPカメラ」と呼ばれるタイプだ。韓国警察によると、4人の容疑者はいずれも遠隔からパスワードを破ってアクセスし、日常の映像を切り出して性的な文脈を加えた動画を大量に作成し、海外のサイト向けに提供していたという。自分の部屋や子ども部屋を映すカメラが、そのまま見知らぬサイトの「素材」になっていたと知った被害者には、場所を変えようのない恐怖が残る。
韓国メディアによれば、警察は少なくとも数十カ所の利用者に連絡を取り、パスワード変更の助言や映像削除の支援を始めているが、実際にどれだけの人が被害に遭ったのかは把握できていないとみている。4人は互いに組織化されたグループではなく、別々に同種の犯行を重ねていたとされ、報酬には仮想通貨も使われた。個人レベルの犯行に見えて、匿名性の高い決済手段と結びついたとき、被害は一気に産業化してしまう構図が浮かぶ。
韓国では、公共トイレや地下鉄、モーテルなどに小型カメラを仕掛ける「モルカ」犯罪が長年の社会問題となり、2010年代から女性たちの抗議デモが続いてきた。今回の事件は、隠しカメラではなく、利用者自身が設置したカメラが標的となった点で一段とやっかいだ。毎日目にしているカメラが「安全」の象徴なのか「侵入」の入り口なのか、生活者は改めて問い直さざるをえない。
なぜIPカメラは狙われるのか——便利さと引き換えの脆さ
IPカメラは、従来の防犯カメラより安価で、スマートフォンから映像を確認できる手軽さから、韓国だけでなく世界的に普及している。だがBBCや英紙各紙の報道によると、多くの機種は出荷時の単純なパスワードのまま使われており、インターネット上で機器を自動検索するツールを使えば、第三者でも比較的容易に侵入できる状態が放置されてきた。今回も、こうした「初期設定の甘さ」が大量被害を生んだ一因とみられている。
韓国国内では数年前から、ホームカメラ映像の流出が断続的に問題化してきた。2019年には米国で、子ども部屋の見守りカメラが乗っ取られ、見知らぬ人物の声がスピーカーから聞こえる事件が報じられたこともある。安全のために家庭に迎え入れた機械が、外部から家庭を「覗く窓」になりうる点は、国境を越えて共通のリスクだ。韓国の科学技術情報通信省は、今回の事件を受けて強固なパスワード設定やセキュリティ更新を義務づける規制を検討していると伝えられる。
一方で、病院や高齢者施設、学習塾など、カメラが「安全管理の証拠」として求められる現場も多い。利用者からすれば、映像記録があることでトラブル時の検証がしやすく、子どもや患者の様子を遠隔で確認できる安心感も大きい。しかし、その同じ映像が、海外の違法サイトで売買されうるとすれば、安心の構造そのものが揺らぐ。今回の事件は、防犯や見守りを支えるインフラが、そのままプライバシーリスクの土台にもなっている現実を突きつけている。
利用者が守れることと、制度に託すしかない部分
韓国警察は、違法サイトの遮断や運営者の追跡に着手し、映像を購入・視聴した側の摘発も進める方針を明らかにしている。行為者だけでなく需要側も取り締まることで、性的搾取ビジネスそのものを細らせようとする狙いだ。しかし、サイト運営拠点が海外に分散し、仮想通貨が使われる現状では、国内の捜査だけで完全に被害拡大を防ぐのは難しい。国境を越えた捜査協力と、プラットフォーム側の通報体制整備が欠かせない。
では、個々の利用者にできることは何か。韓国警察や各国のセキュリティ機関は、初期パスワードを必ず変更し、英数字を組み合わせた長めの暗号を設定すること、定期的なソフトウェア更新、不要な遠隔アクセス機能をオフにすることなどを呼びかけている。また、寝室や浴室など、カメラがプライバシー性の高い空間を直接映さないよう設置場所を見直すことも有効だ。完全な安全は望めなくても、「簡単に狙われる対象」から外れる工夫はできる。
それでもなお、生活インフラとしてのカメラ利用が広がるほど、技術的な防御だけでは追いつかない部分が残る。メーカー側の設計基準や、輸入・販売段階での規制、違法映像をホストする事業者への国際的な責任追及など、個人の努力では届かない層の対策が問われている。私たちがどこまで日常の映像をネットに乗せるのか、その判断を迫られているのは、韓国だけでなく、同じカメラを手にする他国の利用者でもある。
参考・出典
- South Korea police say 120,000 home cameras hacked for 'sexploitation' footage – BBC News
- 120,000 Home and Business IP Cameras Hacked—Suspects Arrested for Selling Footage on Illegal Sites – Financial News
- Police have arrested those who hacked 120,000 IP cameras and sold them to foreign pornographic sites. – MK
- More than 120,000 home cameras in South Korea hacked to record 'sexploitation' footage – The Independent
