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2025年12月31日、台湾の国防部は、同日午前6時（日本時間午前7時）までの48時間で、中国の軍用機の活動を延べ207機確認したと明らかにした。中国軍が台湾周辺で演習を行うなか、航空機の飛来が目立って増えた形だ。台湾側にとっては、防空の負担だけでなく、空と海の「通常運用」をどこまで守れるかも問われている。
機数が示す「張り付き」、航路調整が現場に残す負担
延べ207機という数字は、複数の機体が繰り返し活動したことも含むが、台湾周辺の空域に圧力をかけ続ける運用が続いていることを映す。FNNプライムオンラインによれば、この48時間の内訳として、延べ125機が台湾海峡の中間線を越えたという。台北の発表は日次の監視データの積み上げでもあり、瞬間的な急増だけでなく、監視・対処を長く強いられる性質が読み取れる。
影響は軍同士にとどまらない。Taipei Timesは、台湾の民用航空局が、演習の時間帯に台北飛行情報区（FIR）に入る便がおよそ900便規模で影響を受け得ると説明したと伝えた。実際に台湾側は、中国軍の実弾演習により民間航空941便に影響が出たとも公表している。空のルートを迂回しながら定時運航を維持する調整は、管制や航空会社の現場作業を増やす。
演習と「情報戦」が同時進行、残る問いは誤算のリスク
台湾側の説明では、海上でも動きがあった。中央社（CNA）によると、12月30日の演習で中国側が多管ロケットを計27発発射し、落下地点が24海里線周辺だったと台湾国防部が説明した。加えて、Taipei Timesは別の記事で、24時間の観測として延べ130機の飛来や中間線越えがあったと報じており、航空機と艦艇の組み合わせで圧力を立体的にかける構図が見える。
同時に、受け手の心理を揺さぶる材料も混じる。FNNプライムオンラインによれば、中国側メディアが「無人機が撮影した」とする台北101を俯瞰する映像を流したのに対し、台湾国防部は「典型的な情報戦」だとし、無人機は接続水域の24海里を越えていないと説明した。論点は、軍事的な示威と民間運航への影響、そして情報発信が絡むなかで、偶発的な接近や誤認をどう減らすかだ。危機管理の線引きが曖昧なほど、現場の判断回数だけが増えていく。
