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ワシントンのスタジオで灯りが強まった22日、米ベセント財務長官がテレビで高市早苗首相を故安倍晋三氏の「後継者」と位置づけ、トランプ大統領と「極めて良好な関係」を築くとの期待を語った。27〜29日の大統領訪日が取り沙汰されるなか、同盟の舵取りに連続性と新味の両方が問われている。
ベセント氏の発言が映す思惑
ベセント氏は22日、米FOXビジネスのインタビューで、高市氏を安倍氏の「後継者」と表現し、トランプ氏とは「極めて良好な関係」を築けると述べたと伝えられる。大統領は27〜29日に日本を訪れる方向とされ、ベセント氏自身も同行する見通しが広がっている。現時点で政府の正式発表は限られるが、関係者発言が日米の早い意思疎通を促す格好となっている。
同氏は就任直後から日本側と経済対話を重ねている。財務省の公表によれば、1月28日（米国時間）に加藤勝信財務相と初の意見交換を行い、インド太平洋における協調や通貨の安定に関する認識を確認したという。経済と安保を横断する日米協力の線が浮かぶ。高市政権発足直後に向けて、財政・金融の連携チャンネルを整える狙いがにじむ。
「安倍氏の後継者」という言い回しには、トランプ氏と安倍氏の個人的信頼が再演されるとの期待がにじむ。人物関係をてこに合意形成を進める手法は米側の持ち味であり、初動のメッセージとして同盟の継続性を示す狙いが透けて見える。首脳同士の距離感が政策の速度を左右しかねず、早期の相互理解が市場心理にも波及すると映る。
新内閣の足取りと同盟の現在地
高市首相は22日、官邸で新内閣の始動にあたり記者団に応じ、北朝鮮のミサイル発射に触れつつ危機管理を最優先に据える姿勢を示した。今後の外交日程としてトランプ大統領との首脳会談に臨む意向も語り、政権発足直後から日米枠組みを軸に据える構図が明確になった。国民の安全を守るという語り口に、初動の現実対応と同盟重視の手触りが重なる。
米側でもルビオ国務長官が22日の声明で、日本の新内閣と地域の安全保障を強化していく方針を示したとされる。両政府は2月の首脳共同声明でも、同盟をインド太平洋の平和と繁栄の礎と位置づけており、抑止力の維持・強化は一貫したテーマである。高市政権の発足により、対外メッセージの同調性が増すとの見方が広がっている。
訪日が実現すれば、通商や投資、サプライチェーンの再編に関する協議が再点検されるとみられる。足元では枠組みの実装やエネルギー供給の安定化が走っており、首脳間の対話はそれらを政治的に後押しする舞台となる。初会談の空気感が次の一歩を決める。人物関係と政策の両輪をどう噛み合わせるか、東京とワシントンの手つきが試される。
