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愛知県豊田市の元市職員で探偵業の男(43)が、市役所勤務中に業務端末から市民の個人情報を引き出し、副業の顧客に渡していたとして、3日に愛知県警に逮捕された。容疑は地方公務員法が定める守秘義務違反だ。照会は数十人分に及び、約70人の顧客からの報酬は3000万円超とみられる。副業と公務の境界があいまいなままなら、住民はどこまで役所を信頼できるのか――本件はそんな不安を浮かび上がらせている。
市役所に預けた情報が「副業」に流用される恐怖
市役所には、住所や家族構成、税や福祉に関する繊細な情報が集まる。今回の事件では、その一部が副業の探偵業に流用され、数十人分の情報が不正に照会された疑いがある。警察は、約70人の顧客からの報酬として3000万円超を得ていたとみている。「窓口で提出した書類が、見知らぬ誰かの調査報告書に姿を変えるかもしれない」という想像は、多くの市民にとって背筋の寒くなる事態だ。
東海テレビなどによれば、男は豊田市教育委員会の保健給食課に所属し、児童や教職員の健康管理に関わる立場にあったとされる。子どもの情報も含まれる可能性がある部署からの不正利用が疑われることは、「役所に出した情報は安全だ」という前提を揺るがし、保護者や市民の不安を一段と強めている。デジタル化が進み、紙よりもはるかに簡単に情報へアクセスできる今、内部の一人の判断が信頼全体を傷つけうることが浮き彫りになった。
副業と公務、曖昧な境界線が生んだほころび
地方公務員には、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務があるうえ、多くの自治体では、副業を行う場合に事前の許可や届け出を求めている。東海テレビやテレビ朝日などの報道では、男は市の許可を得ないまま数年前から探偵業に従事していたとされ、公務と私的な収入を得る活動の線引きを自ら踏み越えていた疑いが強い。副業を一律に禁止しない流れが広がるなかでも、「行政の持つ情報を使ってはならない」という最低限のルールは揺らがせないはずだ。
テレビ朝日や日刊スポーツによれば、男は2020年ごろから探偵事務所で活動し、2023年12月には市役所の端末を使って調査対象者の住所や転入時期を確認し、報告書として顧客に渡していたという。こうした端末の操作ログは本来、庁内で管理されているはずだが、異常な照会をどこまで自動的に検知し、上司や監査部門がチェックできていたのかは、今後検証すべき点だろう。副業の是非だけでなく、「誰がどの情報に、どの頻度でアクセスしているか」を組織として監視できるかどうかが問われている。
サイバー攻撃だけではない、自治体情報のリスク
自治体の個人情報を巡っては、外部からのサイバー攻撃による漏えいも課題となっている。愛知・豊田市では、委託先の印刷会社がランサムウェア攻撃を受け、市民約15万人分の情報が流出した事案も報告されている。今回の事件は、外部のハッカー対策だけでなく、組織内部の人間による不正アクセスという「もう一つの入り口」にどう備えるかが問われていることを、あらためて示した。技術的な防御壁と同時に、人と組織の統治をどう設計するかが、これまで以上に重要になっている。
豊田市は「法令遵守推進条例」を掲げ、公正な職務の遂行と市民の信頼確保を目的にうたっている。それでも元職員による不正が起きたことは、ルールや研修だけでは安心を担保できない現実を映し出す。誰がどの目的で情報に触れ、その対価として誰が利益を得るのかを可視化し、アクセス権限や監査の仕組みを具体的に設計できるかどうかが、住民が再び安心して窓口に向かえるかを左右しそうだ。
