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トランプ米大統領は12月12日、大統領執務室で、中南米の麻薬組織に対する軍事行動を「地上」に広げる考えを示し、開始が近いと警告した。海上経由の流入は96%排除したと成果を強調した一方、いつ、どこで作戦を拡大するのかは明言を避けた。
「海上の遮断」から「地上の圧力」へ、現場の条件が変わる
トランプ政権の対麻薬作戦は、この数カ月、海上の密輸船への攻撃が目立ってきた。米南方軍の公表では、対麻薬軍事作戦「サザン・スピア（Operation Southern Spear）」の一環として、12月上旬時点で複数回の「キネティック・ストライク（Kinetic Strike）」を実施し、死者も出ているとされる。
ただ、海上での妨害と比べ、地上での作戦は関係国の主権や治安当局との協力、情報の精度といった条件が重くなる。標的の選別や巻き込まれのリスクは、地理が陸に移るだけで質が変わり、周辺国にとっても「協力か距離か」の判断を迫る材料になり得る。
大統領は「地上の方が容易だ」と語ったが、容易さの裏側には、部隊運用の範囲、越境の扱い、相手側の反発といった別の難所がある。作戦の目的が「密輸の遮断」なのか「組織の無力化」なのかで、必要な権限と説明も変わってくる。
拡大論の前に問われる説明責任、動画開示要求が象徴する不信
一方で米議会では、海上攻撃をめぐる透明性への不満が強い。Reutersによると、民主党指導部は12月12日、9月2日の攻撃に関する「編集されていない映像」を国防長官に公開するよう求め、合法性や情報開示の不足を問題視した。政権側は機密の壁もあり、詳しい根拠の提示は限定的だ。
こうした状況で「地上」を口にすれば、議会と世論が次に問うのは、時期や場所だけではなく、どの法的枠組みで、どんな上限を設けるのかだろう。海での成果を誇るほど、陸に移った瞬間に必要となる説明の重みも増す。作戦の輪郭をどこまで示せるかが、拡大の可否を左右しそうだ。
参考・出典
- Pentagon Provides Update on Operation Southern Spear, Reaffirms Socom Called for Second Strike on Drug Boat
- Senior US Democrats urge release of Venezuela boat strike video
- US military says it killed four men in strike on suspected drug vessel
- Pentagon announces it has killed four men in another boat strike in Pacific
- Trump on Drug Strikes: ‘Now We’re Starting By Land’
