「米国第一」を人事で徹底　トランプ米政権、29カ国の大使交代

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2025.12.23

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AP通信は12月22日、トランプ米政権が少なくとも29カ国の在外公館トップに対し、2026年1月で配置転換すると伝達したと報じた。対象は全員がバイデン前政権下で起用された大使らで、「米国第一」を徹底する人事の一環とされる。急な交代は、相手国との日常実務に小さくない波紋を広げそうだ。

現地で起きるのは「空白」か「引き継ぎ戦」か

AP通信によると、少なくとも29カ国の在外公館で、最高責任者に当たる大使らが「1月までに任務終了」と伝えられた。通知が届き始めたのは12月17日前後とされ、新たなポストは米国務省内で探すよう促されたという。大使は大統領の意向で交代し得る立場だが、現場の時間は急に巻き戻せない。

焦点は、交代そのものより「間を埋める人」が十分かどうかだ。大使不在時は臨時の代理が実務を回すが、要人往来、治安協力、支援事業、邦人保護などは日々の判断が積み重なる。AP通信はアフリカの影響が大きいとも伝えており、相手国から見れば、担当窓口が揺らぐこと自体が交渉コストになる。

政権側の理屈は明快だ。ホワイトハウスは2025年1月に国務長官へ「アメリカ・ファースト」に沿う運営を求める指令を出し、同年2月には外交を「1つの声」で統一する大統領令も公表している。大使を「大統領の個人的代表」と位置づけ、方針と足並みをそろえる人材に差し替える、という発想が今回の動きの土台にある。

一方で、反発の中心は「政治任用」ではなく「キャリア外交官」にも及んだ点だ。Reutersは、国務省が手続きとしては一般的だと説明する一方、外交官の労組が異例だと問題視し、議会からも拙速だとの批判が出ていると報じた。人事が忠誠心の尺度へ傾くほど、現地で積み上げた専門性をどう守るのかという問いが残る。