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トランプ米政権は2025年12月18日、国際刑事裁判所（ICC）がガザ戦闘を巡りイスラエル要人の訴追を進めているとして、ICC判事2人を新たに制裁対象に加えた。法廷の外側から圧力をかけ、捜査の継続そのものに揺さぶりをかける動きだ。焦点は、誰が「国際司法のコスト」を負担するのかに移りつつある。
制裁が届く先は、裁判官の机の上だけではない
対象となったのは、ジョージア出身のゴチャ・ロルドキパニゼ判事と、モンゴル出身のエルデネバルスレン・ダムディン判事だ。米政府は大統領令14203に基づく指定だと説明し、米国内資産の凍結や入国制限などを科す。これにより、米制裁下に置かれたICC関係者は累計で増えた形になる。
制裁は、渡航の制約にとどまらない。AP通信は、銀行取引の停止などで私生活や実務が細部から摩耗していく実態を報じている。米政権が「必要ならICC全体も対象にし得る」と警告してきた以上、周辺の取引先やサービス提供者が、先回りして距離を置く懸念も残る。
「主権」の盾と、ガザ捜査の行方
米国とイスラエルはいずれもローマ規程（ICC設立条約）の締約国ではなく、米政府は「同意のない捜査は主権侵害だ」と位置づける。今回の2判事は、ICCがイスラエル側の異議申し立てを退けた判断に関与したとされ、政治対立が個人制裁として具体化した。
一方、ICCは今回の制裁を、司法の独立を損なう行為だとして反発している。パレスチナは2015年にICCに加盟し、ICCは2024年にネタニヤフ首相らへの逮捕状を出した経緯がある。資金や人の動きが縛られれば、捜査の速度だけでなく、被害者が頼る窓口も細る。圧力の応酬が続くほど、残る問いは国際司法の土台が耐えられるかだ。
参考・出典
- 米政権、ＩＣＣ判事２人に制裁 イスラエルへの捜査巡り圧力強化｜ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
- 2 more ICC judges face US sanctions over Israel investigation | AP News
- US sanctions bring uncertainty to the lives of International Criminal Court judges and prosecutors | AP News
- Imposing Sanctions on the International Criminal Court – The White House
