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来春からの公的年金は増額になりそうだ。政府は2025年12月26日、2026年度の年金支給額を4年連続で引き上げる方向で調整に入った。全国共通の基礎年金は前年度より2.0%程度の上昇が見込まれる一方、物価の伸びには届かず、受け取る側の「買える量」は減る可能性がある。
増えるのに、生活実感は追いつきにくい
上げ幅が物価を下回る見通しなのは、「マクロ経済スライド」が同時に働くためだ。賃金や物価が上がる局面でも、将来世代の給付水準を守る名目で伸びを抑える仕組みで、今回も適用される。結果として、額面は増えても、食料品や光熱費の値上がりを前に家計の余裕が広がるとは限らない。
時事通信（nippon.com掲載）の記事では、改定の前提となる見通しとして、物価上昇率は3.3%、賃金上昇率は2.2%としている。年金の改定は、物価と賃金の動きを材料に決めるが、そこにスライド分が差し引かれると、伸びがさらに細る。年金の増額が「値上げの後追い」に見えやすい構図だ。
ルールが支えるのは持続性、問われるのは負担の配分
マクロ経済スライドは、年金を支える側の人数が減ることや平均寿命の伸びを年金改定に織り込み、給付の伸びを抑える考え方だ。日本年金機構は、賃金や物価が上がる場合に適用しつつ、名目額が下がるような局面では調整を止めるとしている。つまり、減るのは「額面」より先に「実質」になりやすい。
政府は2026年1月に正式決定し、原則として4月分から反映させる。実際の受け取りは偶数月に2か月分が支払われるため、初回の増額は6月の支給で体感しやすい。論点は、足元の物価高への手当てと制度の持続性をどう両立させるかだ。給付を厚くすれば、保険料や財源の議論が避けられないという見方もある。
