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分厚い書類の束がテーブルの上に置かれ、キーウの大統領執務室に緊張が走った。2025年11月20日、ウクライナのゼレンスキー大統領は訪問したドリスコル米陸軍長官から、ロシアの侵攻終結をうたう新たな「28項目和平案」を正式に受け取った。米ニュースサイトAxiosがその全文を公開し、ウクライナの将来を大きく左右しかねない中身が次第に明らかになっている。
トランプ政権が描く「和平」の条件
今回の案はトランプ政権が主導し、特使のスティーブ・ウィトコフ氏がロシア側実務者と協議を重ねてまとめたとされる。 ウクライナ軍の兵力を現状の約80万~85万人から60万人に抑えることや、東部ドネツク州とルハンスク州、クリミア半島を事実上ロシア領として認めることが盛り込まれた。さらに、ウクライナが支配するドネツク州の一部を撤兵し、そこをロシア領内の非武装地帯とする項目も含まれている。
安全保障面では、ウクライナが北大西洋条約機構に将来も加盟しないことを憲法で約束し、NATO側も受け入れを認めないと規定するよう要求している。NATO条約第5条(加盟国への武力攻撃を全体への攻撃とみなす集団防衛義務)を参考に、大規模な侵攻時に米国大統領が同盟国と協議し、必要な措置をとるとする別枠の「安全の保証」案も示された。 一方で、ロシアが周辺国に侵攻しないことは「期待される」との表現にとどまり、制裁解除や主要8カ国への復帰といった見返りが列挙されている。
ウクライナの「赤線」と揺れる同盟国
ゼレンスキー氏は受け取った文書について「ウクライナと米国で項目を調整していく」と表明し、拒絶ではなく協議のテーブルには着く姿勢を示した。 しかし、領土放棄とNATO非加盟の明記は、これまで繰り返してきた「占領地は受け入れない」という立場と真っ向から衝突する。キーウの政府内では、交渉に応じれば戦場での犠牲を抑えられる一方、国内世論の反発や将来の安全を損なうとの懸念もくすぶり、判断は容易ではない。
Axiosによれば、この案の作成段階でウクライナ政府は関与しておらず、当初はワシントンから「シグナル」だけを受け取っていたという。 米側は早期合意を促す「攻撃的なタイムライン」を掲げるが、欧州諸国からはロシアに大きな譲歩を与える内容が長期的な抑止力を弱めかねないとの声も出ている。前線での激しい攻防が続く一方、首都の会議室で静かに回覧される28枚の紙片が、別種の重さをもって各国の判断を試している。
